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がん、かかりやすさに地域差 都道府県別患者データ

乳がんは東京突出、胃がんは東北上位

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NIKKEI STYLE

 日本でがんになった患者のデータがすべての都道府県でそろった。年間の患者数が2016年中に100万人を突破するとみられるなか、地域によって特定の部位のがんのかかりやすさや死亡率に差があることが明らかになった。地域に根ざす生活習慣の違いなどが影響している可能性が浮かび上がった。

国立がん研究センターが都道府県ごとに年齢構成のばらつきなどを調整して新たにがんと診断された人口10万人あたりの患者数(罹患=りかん=率)や死亡率などを6月にまとめた。12年分を分析して、全国の患者数を男女合計で86万5238人と推計した。

都道府県のデータを比べると、地域による隔たりが明らかになった。一つが、がんのかかりやすさ(罹患率)と死亡率の高さが必ずしもつながらない例だ。男性では、全国平均を大幅に上回る水準でがんになりやすかったのが秋田県、石川県、鳥取県、島根県、東京都、和歌山県、福岡県。死亡率で全国平均を大きく超えたのは青森県と佐賀県だった。

弘前大学の松坂方士准教授は「青森県は、検診で要精密検査となった人の再受診率が低い傾向にある。ほかの原因は県と協力して調査中」と話す。

佐賀県は「診断時点で既に進行した症例が全国平均より多く、死亡率の高さにつながっている可能性がある」(同県医療センター好生館の佐藤清治副館長)と分析する。

死亡率の低さでは全国平均をはるかに下回る長野県が際立つ。理由は不明だが、男性患者は治りやすい前立腺がんや甲状腺がんなどが全国平均より多い。

女性も比較的治りやすい甲状腺がんが全国平均を上回る。治りにくい肺がんや肝臓がんの人は全国平均より少なく、全体の死亡率を下げたとみられる。

◇     ◇

都道府県の比較では、一部のがんは生活習慣の違いが、がんのなりやすさを左右していることをうかがわせた。

胃がんでは東北や日本海側で高い。塩分の多い食事を好む地域性と関係しているようだ。胃がんのリスクを高めるピロリ菌は胃の塩分濃度が高いと生き延びやすいという。

肺がんのなりやすさは男女ともに石川県、和歌山県、福岡県で目立つ。女性では東京都が高い。死亡率は男女ともに北海道が1位だ。厚生労働省の国民生活基礎調査(13年)では男女合計の喫煙率で北海道が全国1位。喫煙率の高さなどとの関連が疑われる。

乳がんは東京都が突出し、死亡率も全国3位だ。国立がん研究センターの松田智大・がん登録センター室長は「出産や授乳の経験がない女性では乳がんになるリスクが高まるとされている。東京都は出生率が全国で最も低く、乳がんの罹患率を引き上げる要因の一つになっている」と指摘する。15年の出生率は全国が1.46だが、東京都は1.17と最下位だ。

福岡県や愛媛県なども高かったが、出生率は低いわけではない。アルコール飲料の摂取や肥満など複数の要因もリスクを高めるとみられる。

◇     ◇

大腸がんは男女ともに東北地方と関西地方で目立った。青森県は男女ともにがんのなりやすさは全国2位で、死亡率は1位だった。「大腸がんには肥満と運動不足が関係しているといわれる。青森県は肥満の割合も高く、1日の歩数も少なく、大腸がんの多さにつながっているのではないか」と松坂准教授は考える。

厚労省の国民健康・栄養調査(12年)によると、肥満度を表す体格指数(BMI)の平均値で青森県は男性が全国2位、女性は同6位だった。1日の歩数は男性が全国37位、女性が42位。県民の運動不足が続いているとすれば、改善によって大腸がんを減らせるかもしれない。

肝臓がんは近畿地方から西側で多い。佐賀県や福岡県の県境を流れる筑後川流域には住血吸虫が多く、かつて全国でも問題になった治療に使う注射針の使い回しで、肝臓がんの原因となるC型肝炎の患者が広がったとされる。佐賀県は肝臓がんの死亡率が16年連続全国1位との調査もある。佐藤副館長は「県が検診に力を入れ続けた結果、ここ数年で受診率は向上しており、死亡率は全国平均に近づいている」という。

データの精度が十分ではない自治体もあるが、都道府県別のがんのかかりやすさなどを比べれば、対策の参考になる手掛かりも得られる。「各都道府県は検診体制などに生かしてほしい」と松田室長はアドバイスする。

◇     ◇

引っ越しで転院・隣県で診断 精度のばらつき課題

がん罹患(りかん)数の全国推計は10回目だ。もとになる地域がん登録は今回の2012年分で全都道府県のデータが初めてそろったが、自治体によって精度にばらつきがある。

例えば、千葉県と神奈川県は人口10万人あたりの新たな患者数を示す罹患率が全国平均より低い。これは「両県の患者が東京の病院で診断を受けている影響が出て、低い数字になっているため」と国立がん研究センターがん登録センターの松田智大室長は指摘する。

地域がん登録では引っ越しで病院が変わったり他県の医療機関で診断を受けたりした場合、データが正確性を欠くという。国はがん患者の実態を正確に把握するため、1月から全国共通の集計制度「全国がん登録事業」を始めた。18年には全国がん登録に基づく罹患数などが公表される予定で、それまでは厳密に地域差を比べるのが難しい。

(西山彰彦)

[日本経済新聞朝刊2016年8月14日付]

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