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猛暑が続くのは高気圧のせい?

2016/8/16 日本経済新聞 プラスワン

■猛暑が続くのは高気圧のせいだと聞いたよ

スーちゃん 8月に入ったら、気温が35度を超(こ)す日が続いて大変。エアコンなしじゃいられないよ。天気予報で「強い高気圧におおわれて暑い日が続く」と説明していたけど、どうしてそうなるのかな。

■中心で下向きの風が吹き、雲ができにくいんだ

森羅万象博士より 8月7日はこよみの上では立秋だったけど、各地でセ氏35度以上の「猛暑(もうしょ)日」になった。その後も暑い日が続くね。お盆(ぼん)のころは暑さのピークで、猛暑になることが多い。

夏が暑い理由のひとつは太陽が高くて、日が出ている時間が長いからだ。太陽が高いと日光が当たる範囲(はんい)がせまくなり、地面が受け取る熱の量が増える。日が当たる時間も長いから、地面の温度が上がりやすい。これは学校や塾で習ったんじゃないかな。

夏が暑いのはそれだけではない。日本をすっぽりとおおう太平洋高気圧(小笠原(おがさわら)気団)が関係している。まず、気圧が何なのかを説明しよう。

決まった面積の面に垂直に働く力を圧力と呼ぶ。気圧は空気の重さによって生じる圧力だ。空気は軽いけど、大気の高さは約100キロメートルもあるから、地面の1平方センチメートルにかかる大気の重さはだいたい1キログラムになる。山の上のような高い場所だと気圧は低くなり、地上の方が高い。

地表付近の気圧はどこでも同じではなく、高いところと低いところがある。周りよりも高いのが「高気圧」だ。中心付近は晴れて天気がよくなる。反対に周りよりも低いのが「低気圧」で、雲ができて雨が降りやすい。

高気圧におおわれると晴れやすいのは「下降気流」と呼ぶ下向きの風がふいているからだ。高気圧の下の地表付近では、周りよりも気圧が高いため、気圧が低い方に向かって風がふき出している。その分を補うため、上空から空気が降りてくる。これが下降気流になる。

雲は水蒸気をふくむ空気が上昇(じょうしょう)して冷やされてできる。高気圧では、それとは反対のことが起きている。雲が下降すると、気温が上がって温められる。水のつぶが水蒸気に変わってしまい、雲が消えるんだ。太陽の光が地面によくとどくから、気温が上がりやすい。

下降気流によって気温が上がる理由はもうひとつある。気圧は上空へいくほど低い。その空気のかたまりが下降気流に乗って下がっていくほど気圧が上がって圧縮され、気温が上がるんだ。

なぜ、そうなるのかな。自転車のタイヤに空気を入れるときを思い出してみよう。空気を入れた後にタイヤをさわると温かくなっている。空気の圧力が高まると、体積が減った分、空気の中を動き回っていた分子がはげしくぶつかり合う。そのエネルギーによって熱が生じるんだ。

35度以上の猛暑日が続くような年は「2段重ねの高気圧」が発達していることが多いといわれるよ。日本列島をおおう太平洋高気圧の上に、アジア大陸から東へ張り出してきたチベット高気圧が重なった状態だ。そうなると、地上付近の気圧が上がる。空気がより圧縮されるから、気温がどんどん上がるんだよ。

気象庁の3カ月予報によると、この夏はチベット高気圧の勢力が強く、8月後半は全国的に猛暑になる可能性があるそうだ。外に出るときはぼうしをかぶり、水をこまめに飲むようにして、熱中症(ねっちゅうしょう)にならないように注意しよう。

■車やエアコンも原因だよ

博士からひとこと 天気予報で「猛暑日」や「真夏日」、「熱帯夜」という言葉を聞いたことがあると思う。気象庁は日中の最高気温がセ氏35度以上になると「猛暑日」と呼んでいる。30度以上35度未満だと「真夏日」、25度以上30度未満が「夏日」だ。猛暑日という言葉が使われ始めたのは2007年からだよ。
気象庁は21世紀末ごろには20世紀末に比べて、猛暑日が今より1年間に7~8日増えると予測している。地球温暖化の影響(えいきょう)といわれるけど、よくわかっていない。大都市では、自動車やエアコンが出す熱などがこもる「ヒートアイランド現象」も暑くなる原因みたいだよ。

(取材協力=気象庁天気相談所)

[日経プラスワン2016年8月13日付]

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