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佐賀・竹崎カニ、夏ならオス

うまみ抜群、味噌も美味

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NIKKEI STYLE

カニは冬の食材という印象が強いが、有明海の「竹崎カニ」は夏に旬を迎える。この時期に佐賀県太良町の竹崎島沖で水揚げされる竹崎カニは身の詰まり、凝縮されたうまみや甘みが特徴だ。同町内の飲食店や旅館・ホテルでは工夫を凝らした料理を出しており、多彩な食べ方で楽しめる。

月の引力が見える町――。こう標榜する太良町は佐賀県の南端に位置し、西に県内最高峰の経ケ岳がそびえ、東に有明海を臨む。夏はホタルが舞う清らかな水源を誇る多良川や糸岐川が流れ込む有明海の干満差は最大6メートルに達し、大潮の干潮時には約8600ヘクタールもの日本一広い干潟が現れる。海岸沿いを縦貫するJR長崎本線や国道207号線の車窓からは最も佐賀県らしい一風景が見られる。

豊穣(ほうじょう)の海で育つ竹崎カニは「ガザミ」というワタリガニの一種で、横長でひし形の甲羅をしており、大きいものでは体長が30センチメートルを超える。波が穏やかで水深の浅い砂泥底に生息する。漁では海に仕掛けた長い網を巻き上げたり、籠を使ったりして水揚げしていく。竹崎カニは一年中食べられるが、夏場(6~11月)はオス、冬場(12~5月)は卵を抱えたメスの風味が増すという。

◇     ◇

竹崎カニというブランドで世に出たのは終戦直後に遡るそうだ。太良町観光協会によると、1948年に地元でとれるカニを竹崎カニと呼ぶようになった。

52年に初めての竹崎カニ料理店として「龍宮」が開業。道路も整備され、竹崎カニを出す飲食店が増えていった。もっと客足を増やそうと龍宮創業者が温泉を掘削し、74年に旅館として営業を始めた。以後宿泊できる店も相次いだ。

現在は町内に通年で竹崎カニを食べさせる飲食店約15軒、旅館・ホテル9軒が味を競っている。竹崎カニの食し方の原点とされるゆでカニ、新鮮なカニ刺し身、歯応えが増す焼きカニ、香ばしいカニ天ぷらなどが定番だ。それ以外にも店や料理人の個性がにじむメニューも少なくない。

「カニは食べる時に手が汚れるとか殻をむくのが面倒だとか言われる。値段が高いとも。名古屋名物のひつまぶしをヒントに商品開発した」。旅館「豊洋荘」の川島真悟社長(53)は、当館の目玉という「かにまぶし」を紹介してくれた。

カニのむき身を載せたごはんを盛った伊万里焼の丼から小さな器に4等分してよそい、カニ味噌、たれ、ポン酢をかけて味わい、最後にお茶漬けで流し込む。カニ味噌は特にオスが美味とされ、まさに食べごろだ。また、ワイングラス入りの茶わん蒸しには具材にカニだけではなく"透明なイカ"として知られる呼子のヤリイカも使っている。

カニ料理としては手ごろな価格のかにまぶしは、元はとれたばかりの竹崎カニの身と味噌を温かいごはんの上にかけて食べる"漁師メシ"だ。天然ゆえ個体差が大きく、漁の際に足がもげるなど、そのままでは商品にならない竹崎カニなどを生かして実現した。川島社長は「席を囲むみんなで会話を楽しみながら食べてもらいたい」と話す。

◇     ◇

左党にはたまらない逸品が旅館「鶴荘」の「竹崎カニの大吟醸蒸し」だ。地酒の品質向上に向けた「佐賀県原産地呼称管理制度官能審査委員」を務める赤木一成常務(39)が腕によりをかける。佐賀県産日本酒で蒸し上がるにつれ立ち込める香りは食欲をそそる。佐賀の日本酒を注ぐ甲羅酒は「同じ県産で合わないわけがない」(赤木常務)。

「太良観光ホテル」の「かに雑炊」は締めにおすすめだ。坂口和宏専務(37)は「竹崎カニの殻で取ったスープを使っており、シンプルだが、うまみの濃い味わいに仕上げている」と話す。ランチでも人気なのが料理店「海望」や地元漁協の直営店「漁師の館」のかにちゃんぽんなどだ。

漁師によると最近は漁獲量が減ってきている。料理人らには十分な量の確保が難しくなっており、仕入れ価格も「ここ3年で3倍に跳ね上がった」との声もある。漁場の環境悪化やかつてはとらなかったメスを食べるようになったためなどの理由が挙がる。名物を守り、多くの来客を受け入れるためにも、地元では資源管理の取り組みも始まっている。

<マメ知識>「カキ焼」発祥の地
 九州で冬の風物詩になっている「カキ焼小屋」の発祥地は佐賀県太良町と言われる。二十数年前に同町内の海産物直売店がドラム缶の網焼きでカキを食べさせたのが始まりという。町を縦断する国道は小屋が十数軒にぎわう「カキ焼海道」の別名もあり、竹崎カニを出す店も多い。
 有明海で育つ「竹崎カキ」は成長が早く、焼いても身が縮みにくく、味が濃厚と評判だ。地元では天然のカキが食べられてきたが、2004年から養殖も本格化。竹崎カニは天然だが、蓄養なども試みられている。

(佐賀支局長 田中浩司)

[日本経済新聞夕刊2016年8月9日付]

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