撮っても楽しい飛行機 成田のスポット巡り
「ひこうきの丘」間近で迫力
成田国際空港は夏休みシーズンに入り、飛行機に乗って遠くへ出かける旅行客でにぎわいをみせている。片や空港の外で3月にオープンした撮影スポット「ひこうきの丘」(千葉県芝山町)には、搭乗せずに飛行機の醍醐味を味わおうと、多くの航空ファンや家族連れが集う。
海の日の7月18日、ひこうきの丘は海でなく「空」を楽しもうとやってきた愛好家やカップルでにぎわった。視線の先には、思わず手を伸ばしたくなるほど間近に迫るジェット機がみえる。地面すれすれを通過する機体は迫力満点。中にはバズーカ砲を想像するような望遠レンズで機体を追う本格派も。
ひこうきの丘は芝山町が1億円をかけて整備した。成田空港の2本ある滑走路のうち、A滑走路からわずか600メートルという近さが最大の特徴。芝生の広場でピクニックも楽しめる。小高い丘に描かれたハートマークは「飛行機の乗客向けのおもてなしと安全祈願」(同町まちづくり課)なのだという。
千葉県成田市に住む会社員の野原一希さん(22)は以前、愛好家の間で「畑スポット」と呼ぶあぜ道で撮影していたが、ひこうきの丘ができ「格段に撮りやすくなった」と喜ぶ。都内から訪れた松村恒希くん(6)は目の前を飛ぶ飛行機を見て「大きくなったらパイロットになりたい」と目を輝かせた。
撮影スポットは他にも3つある。同じくA滑走路沿いの「三里塚さくらの丘」(成田市)では、運がよければA滑走路とB滑走路に着陸する機体が上下で重なるように見えるお宝ショットを撮れる穴場。千葉県白井市から訪れた五十嵐良治さん(57)は「気分次第でいろんな撮影スポットを使い分けている」。
A滑走路でひこうきの丘と反対側の先端部に位置するのは「成田市さくらの山」。春の桜が咲く時期は飛行機と桜が一緒に撮影できるほか、夏は木陰で一休みもできる。そして、成田国際空港会社が設けた「十余三(とよみ)東雲の丘」(成田市)はB滑走路を一望できるスポットとして人気だ。
飛行機は通常、吹く風に向かって離着陸する。航空科学博物館の金田彦太郎主任学芸員によると「年によって異なるが、夏は南風が多くひこうきの丘からは飛び立つ飛行機が多く見られる」という。秋口から北風が増え始め、ひこうきの丘では着陸する機体を間近で眺められる日が増えるという。ただ、風向きは1日の間でも変化するので注意が必要。
お目当ての飛行機のいろんな表情を引き出すために、風向きをみながら複数の撮影スポットを巡る楽しみ方もできるだろう。
夏休みは人気殺到 航空科学博物館のシミュレーター
ひこうきの丘から徒歩10分の場所に、飛行機の仕組みや歴史が学べる航空科学博物館(芝山町)がある。操縦を体験できるフライトシミュレーターは夏休み期間中、開館してすぐに整理券がなくなるほど人気だという。
博物館5階の展望展示室からはA滑走路が一望できる。原則として毎週土、日曜日の午後には次々と離着陸する飛行機を見ながら専門家が機体の特徴や行き先などを無料で解説している。3階の屋外展望台からの撮影も可能だ。
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