夏休みの海外旅行保険 無駄なくお得に加入するワザ

夏休みシーズンを迎え、海外旅行を計画している人も少なくないだろう。楽しいことに意識が向かいがちだが、海外で病気やケガといったトラブルが起きることも考えられる。海外では治療費が高額になることもあるし、支払い能力を証明できなければ治療してもらえないケースもある。どんな補償が必要か、海外旅行保険に割安に入る方法などをみていこう。

夏休みに3泊4日でハワイ旅行に出かけるAさん。もしもに備え、自宅に常備している風邪薬を持っていこうと思っているが、友人から、「海外旅行保険に入っておいた方がいい」と助言された。海外で体調を崩したり、ケガをしたりして治療を受けた場合、費用が高額にのぼることがある。

ジェイアイ傷害火災保険によると、ハワイの海で溺れて呼吸不全となり6日間入院し、家族が駆け付けた結果、817万円の保険金を払った例がある。外務省もホノルルを例に、集中治療室への入院・手術では費用が1000万円を超えることもまれではないとして海外旅行保険への加入を勧めている。

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新たに保険に入る前に確認しておきたいのが公的補償だ。健康保険制度では、海外で治療を受けた場合、帰国後に申請すれば、医療費の一部が「海外療養費」として給付される。国内と同じように自己負担は3割(現役世代)で済む。ただし、給付額の算定では、海外で払った医療費と、同じ治療を日本国内で受けたと仮定してかかる金額を比べ、安い方が基準となる。

例えばのように、海外で払った治療費が円換算で30万円、同じ治療を日本で受けた場合の金額が10万円だとすると、安い方の10万円が基準となる。3割の自己負担分を除き、7万円が払い戻される計算だ。治療内容のわかる書類や明細書に日本語訳を付けて健康保険の窓口に請求する必要がある。

もうひとつ助けになるのが、多くのクレジットカードに付帯されている海外旅行傷害保険だ。カードを保有しているだけで補償される自動付帯タイプと、旅行費用をカードで決済した場合に限り補償される利用付帯タイプがある。

補償内容はカードによって異なるが、(1)傷害による死亡・後遺障害(2)病気・ケガの治療費用(3)家族の渡航費や患者の移送費など救援者費用(4)賠償責任――などを対象としている。補償金額は、年会費が無料のカードの場合は低めだ。傷害死亡・後遺障害で最高2000万円、治療費用で最高100万円といった例がある。

複数のカードを持っている人は、治療費用については、各カードの補償を合算できる場合があることを覚えておこう。2つのカードを持ち補償額がそれぞれ100万円なら最高200万円の補償が受けられる(実際にかかった金額が上限)。ただしカードの発行会社が同じ場合は高い方の補償額が上限となる。

死亡保障は合算できないが、ファイナンシャルプランナー(FP)の井戸美枝さんは「海外旅行保険で死亡保障を確保する必要性は低い」と指摘する。「生命保険で死亡保障を得ていれば、旅行先での死亡時にも保険金が受け取れる」ためだ。

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ではカード付帯の補償だけで十分なのだろうか。「治療費と救援費用については補償が不足するケースもあるので、必要に応じて、損害保険会社が一般向けに扱う海外旅行保険に入ると安心」と井戸さんは助言する。

旅行会社の店頭や空港にある保険会社カウンターで加入できる。最近はスマートフォン(スマホ)などから加入手続きをできる例も多い。店頭での加入よりも保険料が4割前後、商品によっては6割以上安くなる。

さまざまな補償がパックになっている商品が多いが、補償金額を抑えて保険料を安くしたプランや、補償の組み合わせや金額を設計できるプランを選べることもある。

保険料はいくらくらいか。渡航先や日数、目的にもよるので、「ハワイ4日間の観光旅行」という条件で見てみよう()。損害保険ジャパン日本興亜の「off!」で、死亡補償を付けず、治療費用1000万円、救援者費用1000万円などと補償を絞ると、保険料は1410円に抑えられる。

ジェイアイの「t@biho」は年齢により保険料が異なり、若い世代ほど安く設定されている。保険会社によっては2回目以降の加入で保険料が数%割引される例もある。保険会社やカード会社では医療機関の案内や手配などもしてくれるので、連絡先も把握しておきたい。

(ライター 高橋 晴美)

[日経プラスワン2016年7月23日付]

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