ファミリー・レス 奥田亜希子著
本当の親子になりたい母
姉夫婦が交通事故で亡くなって、忘れ形見の柚香(ゆずか)を引き取ったのは彼女が10歳のときだった。子供のいない梗(きょう)子と健一は本当の娘のように柚香を育てた。それから12年、就職と同時に柚香は一人暮らしを始めると言う。就職先には家から通えるのに、「親でもない人に、社会人になってまで面倒見てもらえないよ」。柚香は悪びれた様子もなくそう言った。それから半年、梗子は毎日泣いている。
柚香の本当の母親になりたかった。いまでも梗子はそういう思いでいる。しかしたとえ本当の子供でも、いずれは自立して家を出ていく。それが子の成長というものだ。はたして梗子が泣き止(や)む日は来るのか。どんどんどんどんページをめくっていく。
★★★★
(文芸評論家 北上次郎)
[日本経済新聞夕刊2016年6月30日付]
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
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