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無言の身体表現、雄弁に Noism「ラ・バヤデール」

演出振付家・舞踊家 金森穣さん

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NIKKEI STYLE

意欲的かつ緻密な作品づくりによって舞踊界の新時代を切りひらく。日本で唯一の公立劇場専属ダンスカンパニー「Noism(ノイズム)」を生み、育ててきたトップランナーだ。17日に地元・新潟で幕を開けた新作「ラ・バヤデール」にも、いくつものたくらみが隠されている。

序幕、慰霊碑に見立てた柱の前に元陸軍将校の老人が現れ、昔語りを始める。と、舞台の左右にのびる道を通って過去の人々が姿を現した。ここは5つの民族が、それぞれの思惑を抱えながら共存する草原の国。やがて観客は「幻の帝国」が崩壊していく物語に立ちあうことになる。

「(道は)能舞台の橋懸かりをヒントにした」。能においては死者や異界の者がこの世に現れるときの通り道ともなる場。「そこをゆっくり移動することで、時間の隔たりを空間的に可視化することができる」。客席にせり出した奥行きのある舞台。慰霊碑にも回廊の列柱にも姿を変える柱。空間はパリを拠点に活躍する建築家の田根剛とともにデザインした。

Noismにとって、舞踊に演劇の要素を加えた「劇的舞踊」の第3弾。前作「カルメン」からセリフによる語りを加え、今回もセリフを発する俳優と、発話しない舞踊家が舞台を行き交う。これまで自身が手がけてきた脚本を、初めて劇作家の平田オリザに依頼した。

「難しいことも簡潔に言い換えてくれる劇作家の言葉を通すことで、社会性あるドラマチックな舞台を作りたかった」。面白いのは、平田の脚本ではセリフとして書かれていた一部を、あえて舞踊に「翻訳する」という創作法を試みたことだ。

ホワイトボードの前に演者と集まり、まず金森が場面ごとに「駆け引き」「威圧」「未練」といったキーワードを投げ掛ける。それに対し、演者が思い付いた言葉や擬音語を20ほど挙げる。「そこから演者が短い動きを創作し、僕が元のキーワードに立ち返って動きをつなぎ合わせていった」

狙いは「発話する演者と、しない演者を対峙させることで、セリフを持たない身体表現の雄弁さを証明」すること。実際に、舌ぽう鋭くセリフをまくしたてる俳優と、振りだけで応える踊り子の両者が向き合うシーンでは踊り子の悲哀が驚くほど鮮明にあふれ出ていた。

「無言の表現が説得力を持つのは、日本的な美意識に根ざしているからだと思う」。ただ「次の新作では、いったん言葉から離れてみようと思っている」。劇的舞踊もあらゆる演出法を取り入れ、新たな表現の形を模索する道の途上にすぎない。

ダンサーの父親から舞踊の手ほどきを受けて育った。欧州に渡って20歳で演出・振付家としてデビュー。帰国後、新潟でNoismを立ち上げて13年目になる。「ここから21世紀の舞踊スタイルを確立したい。舞踊の動きや振りは、20世紀までに出尽くしている。21世紀の舞踊づくりは、動きや振りをいかに組み合わせて関係性を与えるかにかかっている。そのためには総合的な演出の役割が重要」と考えている。

◇     ◇

公共劇場の使命担う

Noismは新潟市が運営する公共劇場専属の舞踊団だ。そのために強く意識しているのが「作品を通して社会問題を考えるきっかけを与える」という「公共劇場の使命」だ。「個人の芸術的野心だけでなく、客観的な立場からいま何を表現すべきかを考え続けていきたい」

「ラ・バヤデール」では、踊り子の少女と異民族の騎兵隊長との悲恋を通して、今も世界で絶えることのない民族紛争や宗教対立について「シンプルな表現で問題提起したつもり」。「単にお客を喜ばせるだけの消費文化の一端としてではなく、後世に残る作品をつくらなければ、税金を投じる意味はない」

拠点は新潟に置きつつ、公演は全国に広がる。本作も7月から横浜市、兵庫県西宮市、名古屋市などを巡演。メンバーも海外含め他地域からの参加が大半だ。「地元の活性化というよりは、世界に発信するつもりでやっている。『新潟のために作品をつくれ』と言われたら辞めるだけ」

(文化部 小山雄嗣)

[日本経済新聞夕刊2016年6月29日付]

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