洗濯機、詰め込みすぎNG
容量の7~8割まで
洗濯物を部屋干しすることが多いのですが、なかなか乾かないし、イヤなにおいが気になります。あの生乾きのにおいを撃退する洗い方、干し方のコツを教えてください。
生乾き臭 撃退したい
梅雨時はもちろん、花粉や大気汚染、忙しい日の夜洗濯などを理由に、洗濯物を部屋干しする人が増えている。そこでよく聞く悩みが、部屋干し特有の生乾き臭だ。
ライオンのお洗濯マイスター、山縣義文さんによると、においの原因は「洗濯で落としきれなかった汚れと菌」。洗濯物がいつまでも湿っていると、残った皮脂やアカなどが化学変化を起こしたり、水分と汚れをエサに菌が増殖したりすることでにおう。「菌が汚れを分解する過程で出す、いわば『排せつ物』がニオイのもと」(山縣さん)
部屋干しのにおいを防ぐには、洗濯で菌をしっかり落とすことが大切だ。なにしろ「一度体を拭いただけで、バスタオル1グラムあたり約10万個の菌が増える」(山縣さん)。まずは洗濯から見直そう。
洗濯アドバイザーの中村祐一さんは「菌は汚れ物の湿気が大好き。梅雨時こそため込まず、まめに洗濯を」と呼びかける。量が多いと、洗濯機の中で衣類がスムーズに動かず、汚れ落ちが悪くなる。1回の洗濯物は洗濯機の容量の7~8割までと心得よう。
そうはいっても、すぐに洗えない場合もあるだろう。「汗などでぬれた衣類は、別のものに湿気を移さないよう、保管場所に注意」(中村さん)。洗濯前もハンガーなどにかけて干しておこう。
「洗剤は部屋干し用を選ぶのがおすすめ。汚れと菌に効果的に働くよう開発されている」(中村さん)。除菌力や抗菌力の高い漂白剤や柔軟剤を併用するのも手だ。脱水後は言うまでもなく、すぐに干す。少しでも放置すれば、菌の増殖を許すことになる。乾燥後もにおいがとれない場合は、酸素系漂白剤を加えてつけ置き洗いするといい。
乾燥5時間内 菌を抑える
環境にもよるが、においは部屋干し後およそ5時間で発生するといわれる。5時間以内を目安に、効率よく乾かす方法を覚えたい。
布は空気に触れる面が大きいほど、水分が蒸発して早く乾く。まずは洗濯物が重ならないよう「こぶし1個分は間隔を空けて干し、風の通り道をつくる」(山縣さん)。
山縣さんのおすすめは「アーチ干し」。両端に長い衣類、中央に短い衣類をつるす干し方だ。乾きにくい長めの衣類が空気に触れやすい、アーチ下部の空間に風が通りやすい、などの利点から乾燥時間を短縮できるという。綿素材や厚手のものといった乾きにくい衣類を外側に干すのが早く乾かすコツだ。
部屋のどこに干すかもポイント。「つい引っかけがちなカーテンレールはNG。窓際は空気の流れが悪く、カーテンのホコリが洗濯物につく」(中村さん)。最適なのは、部屋の中央や鴨居(かもい)など、風通しのよい場所だ。山縣さんは「扇風機の風を横から当てて、洗濯物の回りの湿った空気を入れ替えるとなお効果的」と話す。
アイテム別に干し方を工夫すれば、乾燥はさらに早くなる。シャツは襟を立て、ボタンを外したまま干す。ポケットなど裏に布の重なりが多いパンツやスカートは「裏返して筒状につるす」(山縣さん)といい。フード付きパーカーは「袖を下にして干す『逆バンザイ干し』で袖の脇をあけ、フードを空気に触れさせると乾きやすい」(中村さん)という。
シーツやバスタオルはどうか。物干しざおやパイプハンガーにかけるなら、3対1で折り返すなど、丈をずらすといい。折った面ができるだけ重ならないようにするためだ。ピンチハンガーを使う場合は蛇腹状に干そう。
乾いた順に洗濯物を取り外していけば、空間が増えてまだ乾いていないものが乾きやすくなる。途中で洗濯物の上下を入れ替えるのもいい。洗濯物は上から乾くからだ。それでも乾きが悪ければ、アイロンをかける裏技もある。「乾燥を促し、さらには殺菌もできる」(中村さん)
部屋干しの達人になれば、梅雨もにわか雨も怖くない。においを防いで、洗濯物をいつも爽やかに保とう。
(ライター 松田亜希子)
[日経プラスワン2016年6月25日付]
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