「非正規労働」を考える 小池和男著日米の実例挙げ冷静に考察

(名古屋大学出版会・3200円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

「仕事の経済学」の第一人者による喫緊の課題の分析と解明の書である。

人材選別機能、雇用調整機能、低技能職務の三つの側面をもつ「非正規労働」の現実を、雇用する側とされる側を、冷静に事実に即して考察している。日米の実例が実に豊富である。その結果、「非正規」労働にまつわる議論がもつ陥穽(かんせい)を実に見事に浮き彫りにする。

彼らを単なる低賃金の使い捨ての存在と見るのは危険である。もともと「世に弊害のない制度」などないのだ。大切なのは積極的な改善だ。

評者の調査結果でも、製造業の中小企業の多くは、人材派遣とのマッチングでやっと採用できているのが実際である。

★★★★★

(福山大学教授 中沢孝夫)

[日本経済新聞夕刊2016年6月23日付]

★★★★★ 傑作
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…

「非正規労働」を考える―戦後労働史の視角から―

著者 : 小池 和男
出版 : 名古屋大学出版会
価格 : 3,456円 (税込み)