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クールビズは「きちんと感」 過度な軽装はNG

2016/6/23 日本経済新聞 夕刊

 地球温暖化対策の一環で職場の冷房を抑え室温を上げても、快適に過ごせる服装の「クールビズ」。東日本大震災の影響で、夏場の節電が重要になって以降、一段と軽装の「スーパークールビズ」も登場した。ただ、度が過ぎると相手に不快な思いをさせかねない。軽装はどこまで可能なのか、真夏の職場にふさわしいドレスコードを探った。

 全国各地で30度近い気温が続く今の時期、クールビズを推進する環境省国民生活対策室は、アロハシャツやポロシャツなどを着た職員の姿が目立つ。昨年まで中央省庁は5~10月をクールビズ、うち6~9月をスーパークールビズ期間と定めていた。ところが10月は25度以上の夏日が少ないため今年から期間を9月末までに短縮し、5~9月をスーパークールビズの服装に統一した。

 同省の服装例を見てみよう。ノーネクタイやノージャケット、半袖シャツはOK。クールビズ期間は不可だったポロシャツやアロハシャツ、スニーカーも今年は5月から解禁した。国民生活対策室の伊藤賢利室長は「あくまでも参考例。TPOに合わせて考えればいい」と話す。

 だが、ファッション評論家の黒部和夫さんはスーパークールビズについて「軽装過ぎるのでは」とみる。例えばポロシャツ。もとはポロ競技が語源の服装とされ、テニスなどのスポーツ時に着る印象が強く、ビジネスには合わないという。

 それに代わる服装として薦めるのがビズポロだ。伸縮性や通気性の高いポロシャツ素材を使ったワイシャツのことである。一般のポロシャツは芯地が入った「台襟」がないため襟が寝てしまい、だらしなく見える。ビズポロはワイシャツと同じように台襟付きで、見た目はビジネスシャツと変わらない。

 アロハシャツもあまり好ましくないという。沖縄県など暑い地域の役所や企業で使うのは理解できるが、少なくとも一般の大手企業では難しい面がある。黒部さんは「ビジネスでは見た目の印象が大事。アロハシャツはカジュアル過ぎる。節度のある服装を」と指摘する。

 クールビズファッションの普及に努めてきた百貨店業界も、軽装に走り過ぎたことへの反省から、「きちんとした服装」への回帰を提案し始めている。例えば、西武百貨店はドレスアップしながらコンフォート(快適性)も確保する「ドレコン」スタイルをうたっている。

クールビズ売り場には薄くて軽いシャツジャケットなどが並ぶ(東京都豊島区の西武池袋本店)

 代表的なのがジャージー生地を使ったジャケットと、肩パッドがなくシャツのような薄い生地で作ったシャツジャケットだ。内勤者は上着がなくてもいいが、営業など社外の人と会う機会が多いビジネスマンは上着を手放せない。ジャージー生地ならかばんに入れてもしわになりにくく、シャツジャケットなら涼しく着られ、手に持っても軽く負担が軽い。それらを相手と会う直前に着ればいい。

 さらに同百貨店の神立洋利・紳士服統括マーチャンタイザーは「魅(み)せる工夫と見せない工夫」を提唱する。上着を着用の際、ノーネクタイだと胸元が開いて締まらない印象がある。その際、ポケットチーフやピンズ(襟に差すピンバッジ)で補うのが魅せる工夫だ。

 見せない工夫とはワイシャツの下から肌着が透けて見えないようにすること。基本は第一ボタンをはずしても見えないよう、Vネックのシャツを着用すること。肌着にカラーや柄のTシャツを着るのはよくない。最近出回っているシームレスシャツの活用も手だ。

 女性の場合はどうか。NPO法人日本サービスマナー協会(東京・中央)の講師、中川奈美さんは「肌の露出を抑えること」と言う。肩があらわになるタンクトップはもちろん、ノースリーブもお薦めしないという。スカートの場合、短くても座った時に膝が出るくらいの丈にする。靴もサンダルやミュールは避ける。

 軽装だとついアクセサリーで着飾りたくなるが、華美にならないようにすることも大事。シンプルなネックレスやイヤリング、ピアスをさりげなくつけるのはいいが、大きくて目立つものや仕事の邪魔になるものは控えるべきだろう。

[日本経済新聞夕刊2016年6月20日付]

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