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「血管年齢」知って病気の芽を摘む

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心筋梗塞や脳梗塞など病気のリスクを高めるのが動脈硬化だ。全身に血液を巡らせる血管は、自分の健康を知るもの差しになる。加齢などが原因で動脈が硬くなった状態を多くの医療機関では「血管年齢」と呼ぶ数値に変え、患者に分かりやすく伝えている。40歳を過ぎた人で年齢に伴う変化以上に大きく衰えていると要注意だ。血管に気を配り、生活習慣の改善に努めよう。

「人は血管とともに老いる」。米国の医学教育に影響を与えた医師、ウィリアム・オスラー博士が残した有名な言葉だ。全身を巡る血管は臓器や組織に酸素や栄養を運び、細胞で生まれた老廃物を体の外に運び出す役割を担う。臓器は絶え間なく働くだけに、血液の流れが滞ると全身に変調をきたしやすい。

心臓から出て酸素や栄養を運ぶのは動脈で、加齢のほか生活習慣などで動脈硬化になる。

硬くなる原因の多くは、年とともに血管の壁が厚くなったり、動脈の内側にコレステロールなどがたまったりする現象だ。血液を送り出す心臓の負担が増すほか、酸素や栄養が臓器にうまく行き渡らなくなる。動脈硬化が進むと心筋梗塞や脳梗塞の危険が高まる。

動脈は外側から順に「外膜」「中膜」「内膜」の3層からなる。普段は内膜にある内皮細胞から血管収縮物質であるエンドセリンと、血管を柔らかくする一酸化窒素などが出る。血流が増えると一酸化窒素の分泌量が増え、エンドセリンは減って血液がスムーズに流れるようになる。

年を取ると一酸化窒素が出にくくなり、血管の柔軟性を失う。血管内膜の内皮細胞が弱り、食生活の悪化などが重なるとコレステロールなどがたまって血液の通り道が狭まり、血栓もできやすくなる。

◇     ◇

心筋梗塞といった病気になる前に、動脈の状態を知ると予防法や治療法を立てやすい。動脈の硬さを自覚できるように、多くの医師が血管年齢という言葉で対策を促している。筑波大学循環器内科の宮内卓教授は「患者に分かりやすく伝えるための概念として、医療現場で広がりつつある」と解説する。

動脈の硬さを測定する手法は幾つかある。一つが「脈波伝播(でんぱ)速度(PWV)検査」だ。あおむけで両腕と両足の4カ所にセンサーをつける。心臓の拍動で血液が血管を押し広げて生じる脈波が動脈を通じて手と足に伝わる。検査ではセンサー間の距離を脈波の到達時間で割り、速度を出す。

動脈が硬ければ脈波の流れも速くなる。逆にこの速度が遅いほど血管がしなやかなことを意味する。

PWV検査では1秒あたり脈波が進んだ距離を割り出す。この値を健康な人たちで年齢ごとにそろえておけば、測定値からどの世代の血管の硬さに相当するかが換算できる。いわゆる血管年齢だ。最近では心臓から足首にかけて脈波が伝わる速度を調べる「心臓足首血管指数(CAVI)」と呼ぶ手法もある。

◇     ◇

検査後に動脈の硬さをどう説明するかは医師の判断による。計測した速度を基に助言したり、「あなたの血管の硬さは60代前半に相当します」「血管年齢は50歳」などと話したりする。宮内教授は「40歳以上の人で、血管年齢が実年齢より10歳以上高い場合は注意が必要」と生活習慣の改善や精密検査などの対策を勧める。

動脈が硬くなるのは加齢のほか、運動や食事、喫煙習慣など日常生活の乱れも影響する。運動ではウオーキングやジョギングなどの有酸素運動が効果的とされており、実際に血管年齢が下がったとする研究結果も報告されている。筑波大の前田清司教授(スポーツ医学)は「早歩き程度のウオーキングを1日30分以上するといい」と話す。

最新の研究では、有酸素運動に頼らなくても血管年齢を改善できる可能性が出てきた。

産業技術総合研究所や米テキサス大学などのチームは、貝を採りに海に潜る「海女」の活動と血管年齢の関係を研究した成果を米科学誌で発表した。

三重県志摩・鳥羽地区と千葉県南房総市白浜に住む平均年齢65歳の女性約200人の血管年齢を測った。海女は115人おり、血管年齢は実年齢より平均約11歳若かった。潜水は有酸素運動とは違うため、これまでの経験からは説明がつかない。

潜水時は息を止めて水に入ると心臓の拍動数が減るが、水圧で心臓に戻る血液が多く、1回の収縮で送り出す血液量は増える。産総研の菅原順主任研究員は「この血液の動きが動脈を柔らかくしている可能性がある」と話す。

同地区に暮らす運動習慣がない女性でも、海女ほどではないが血管年齢が若い人がいた。菅原氏は「漁村部での食習慣の違いも影響しているのではないか」とみる。

動脈が硬くなる原因は多岐にわたる。最初から「年だから」と諦めず、まずは血管年齢を知り、医師と相談のうえで自分の生活習慣の改善にもつなげたい。

◇     ◇

有酸素運動、継続的に 体と動脈の柔らかさ連動

多くの人にとって血管をしなやかに保つには、一定強度の有酸素運動が効果的とされる。ただ、運動しても短期間でやめては動脈の硬さを示す値が元に戻るという研究もあり、継続性が大事だ。

筑波大の前田清司教授は「2000年以降、生活習慣が動脈の硬さに影響することが分かってきた」と話す。同教授らの研究では、ウオーキングやジョギングなど有酸素運動に定期的に取り組んだ中高齢者は動脈の硬さの値が下がった。有酸素運動は酸素を十分に取り込みながらする運動で、体への負担はそれほど大きくなく、比較的長い時間続けられる。

若者でも効果があり、高齢者は軽い運動でも動脈が柔らかくなった。ただ1カ月も運動しないと元に戻った。運動の機会が多いほど動脈は柔らかく、高齢者の場合は体の柔軟性も動脈の柔らかさにつながる。

高齢者にとって筋力トレーニングは転倒防止などに有効だが「高強度の筋トレはやり方によっては血管を硬くしてしまう」(前田教授)。筋トレをするなら最初にやり、次に有酸素運動をするのが効果的という。

食生活では全体のカロリーを抑え、乳製品が含むラクトトリペプチドや、ウコンの主成分クルクミンなどの摂取が有効とされる。食塩や喫煙、肥満などは悪影響をもたらす。健康を保つには運動と食生活の改善を同時に進めるのがいい。

(山本優)

[日本経済新聞朝刊2016年6月19日付]

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