無料オンライン講座で学ぼう 有名大学教授も講義

2016/6/23

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パソコンやスマートフォン(スマホ)を使って動画により学習ができるのがオンライン講座。ここ最近になり、大学教授らが講師となり、誰もが無料で受けられる新しいタイプの講座配信サービスが広がりつつある。インターネット上で会員登録を済ませれば、すぐに学習を始めることが可能。どんな講座があり、どのように受講するのかを紹介しよう。
タブレットやスマホでも動画を視聴できる(ドコモgacco提供)

東京都に住む50代の主婦Aさんは5月末から自宅のパソコンを利用し、企業会計について無料で学ぶオンライン学習講座を受けている。明治大学専門職大学院の教授陣が講師となり、画面を通じて、教材を用いながら教えてくれる「会計プロフェッショナル入門」だ。

講義の動画は、数回に分かれて配信され、1本あたり10分ほど。視聴可能な期間は限られるが、期間内ならいつでも見られる。途中で数回、クイズやリポートがあり、クリアして修了となる。Aさんは「株式投資に生かすため財務諸表を読みこなしたい。無料のオンライン講座は、好きな時間に自分のペースで学べるので便利」と話す。

Aさんが利用するのは、NTTドコモグループのドコモgacco(東京・港)が運営するオンライン学習講座だ。ネット上で会員登録をすれば、パソコンやスマートフォン(スマホ)、タブレットを使って様々な講座を無料で受けられる。

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例えば京都大学iPS細胞研究所のメンバーが講師となる「よくわかる!iPS細胞」は昨年人気が高かったため、最新情報を付け加えて今年9月に再び講義を開く。人気講師の1人、本郷和人東京大学教授が日本の中世政治史を教える「日本中世の自由と平等」も7月14日から開講する予定だ。

有名大学の教授の講義を受けられるのは従来、狭き門をくぐって入学し、高い授業料を払える人だけというイメージがあった。これを覆すように数年前に米国で始まった試みが大規模公開オンライン講座(MOOC=ムーク)と呼ばれる教育サービス。「Massive Open Online Courses」の略で、誰もが無料でネットを通じて受けられる講座を意味する。

講師には大学教授らがなり、受講する人は、宿題や課題に答えながら学んでいく。成績が一定の基準を満たせば、学習をひととおり終えた証しとして「修了証」をもらえるというのがおおまかな仕組み。同様の形態の教育サービスは欧州やアジア各国でも広がっている。

その流れを受けて日本で2013年に産学連携で設立されたのが一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC)。東京大学や早稲田大学など約50大学が会員となり、産業界からはNTTドコモのほか富士通などが参加する。

同協議会と組んで無料講座を配信するのは、14年4月に始まった「gacco」を含めて4つ。遠隔教育大手のネットラーニング(東京・新宿)は「OpenLearning, Japan」を14年9月に開始。放送大学の「OUJ MOOC」は世界に向け日本語を学べる講座を配信。富士通も今年3月に「Fisdom」を始めた。

中には通常のオンライン講座に加え実際の教室で講師から直接学べる集合型学習の日を設定するコースもある。

ネットで学習する動画は有料サービスとしてはこれまでもあったが、JMOOC関連はいずれも無料だ。ドコモgaccoの場合、誰でも会員登録ができる一般向けの無料講座とは別に、企業や教育機関から受注して受講者を限定する非公開オンライン講座も提供する。

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大学をはじめとして官公庁や自治体など多くの公共の機関が講座の主体になっているのも特徴だ。例えば総務省は統計局職員らが講師となるデータサイエンスの講座を提供。愛媛県は地元の産業資源や自然を紹介する講座を持つ。

講座のテーマは幅広いので、まずは各サービスのサイトで講座一覧を眺めてみるのがおすすめだ。一般的に、会員登録時には氏名やメールアドレスなどを入力する。新しい講座の日程や、配信開始の情報などはメールで連絡してくれる。

動画は1本あたり10分前後と短く分けて編集されていることが多いので、仕事や家事の合間に見るのにも適している。講座内で使う教材はダウンロードすることも可能。開講期間中は何度でも見られる。

なかには途中で受講をさぼりたくなる人もいるだろう。やる気を維持する仕組みとして、ニックネームを使って掲示板で議論する学習者コミュニティーや、リアルタイムでの遠隔演習が用意されることもある。同じ講座の受講生が自主的に集まるオフ会を開く例もあるという。

興味のある講座をいくつか受けてみて、面白いと感じたものだけ続けるという方法もいいだろう。興味のある分野を気軽に学習できるのがこの仕組みの良さ。利用する際には、運営会社や講座提供に関するポリシーなどを確認して選択したい。

(ファイナンシャルプランナー 坂本 綾子)

[日経プラスワン2016年6月18日付]