仮想試着でお似合い選び 服・メガネ、通販が便利に
メガネ専門店「JINS(ジンズ)」を展開するジェイアイエヌは、スマートフォンやパソコンを使ってメガネをバーチャル(仮想)に試着できるアプリ「バーチャルフィット」を提供している。スマホ画面に自分の顔を表示させ、好きな色やデザインのメガネを「かけて」試せる。Eコマースグループの在田正弘リーダーは「実際に店舗で試着するのと同じようにネット上でも体験できる」と説明する。
顔の画像3D表示
同社はネット通販のメガネ販売を手がけて10年ほどになる。消費者の認知度は高まってきたというが、それでも「買う前に試着したいという声は根強かった」(在田リーダー)という。そこで3月から試着アプリの配信を始めた。これまで数万件ダウンロードされている。
まずアプリ上でスマホのカメラを使い自分の顔を右顔、正面、左横と動かしながら撮影する。するとこれらの画像を自動で取り込み、メガネをかけた顔を表示する。アプリ上では四角や楕円など定番デザインとされる4種類のメガネを試すことができる。もっと試したければ同社のネット通販サイトへアクセスし、アプリで取り込んだ自らの画像データに、約3000本のメガネを試着させられる。顔の画像は3Dで表示する。正面に加え、横向きでも見られるので「フレーム部分のデザインも確認できる」(同社)。
仮想試着は衣服にも広がってきた。ネット通販大手の楽天は自分の体形に合わせた服を選べるサービス「バーチャル・フィッティングルーム」を1月から始めた。通販サイト「楽天市場」に出店している紳士服チェーン大手のはるやま商事が導入し、ワイシャツで試着できる。
利用者はサイト上で自分の身長と体重、年齢を入力する。首回りや腕の太さも指定できる。入力すると、本人の体形を再現したイメージ画像が表示され、お薦めのサイズを教えてくれる。自分にフィットしたサイズが視覚的にわかる。イメージ画像は正面と後ろから立体的に見られる。違うサイズを選ぶと、「きつめ」「ゆるめ」と表示。体形に合っていないことがわかる。
楽天の仮想試着サービスは女性向けの結婚パーティー用ドレスやカジュアル服の店舗でも使われ始めた。これまではモデルが着たイメージを参考にしていた多くの消費者が、仮想試着で、より自分の体形にあった服を選びたいと考えるようになったという。
フィット感を再現
「ネット通販で衣服を購入する場合、消費者が気にするのがサイズ」とファッション戦略グループの王元美沙さん。同じ「S」や「M」でも店舗によっては実際に着たときのフィット感が異なることは多いからだ。実物を試着できないネット通販では、おのずとサイズを頼りに購入することになるが、自分の体形データに合うなら安心だ。
東芝が提供しているのが仮想の「着せ替え」サービスだ。スマホ向けアプリ「コーディネート プラス」は自分を撮影した画像でアバター(分身)を作成し、いろんな服を着せて楽しめるという。試着した様子は前後左右から見て、似合っているかどうかチェックできる。
実際に着る煩わしさや制約から離れ、いつもと違う服選びに挑戦できるのが特徴だ。「普段は着ないデザインや色の服を気軽に試せる」(同社)
ネット上で仮想試着のサービスが広がることで、これまで以上にネット通販が身近になりそうだ。
(メディア戦略部 古山和弘)
[日本経済新聞夕刊2016年6月16日付]
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