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地震を起こす活断層 数万年活動しないことも

2016/6/7 日本経済新聞 プラスワン

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■地震を起こす活断層って活動してるの?

スーちゃん 地震(じしん)は「活断層」で起きるって聞いたよ。熊本地震は活断層が原因なんでしょ。断層と活断層ってちがうのかな。「活」は活動するって意味? それとも活発? 地震が起きない断層もあるのかな。

■1000年~数万年はじっとしているんだ

森羅万象博士より がけなどで、いろいろな色の土や岩石が層になって重なっているところを見たことがないかな。こうした地層の中には、とちゅうで切れて左右がくいちがっているところがある。これが断層だ。

地面の下には、岩盤(がんばん)という硬(かた)い岩のかたまりがある。地震が起こるところでは、岩盤に押しつけ合う力や引っ張る力、横にずれようとする力が働いている。こうした力が少しずつたまっていき、あるとき一気に割れて岩盤がずれ、地震が起きる。このとき地層にできた割れ目が断層だ。

四角いコンニャクを使って実験できるよ。コンニャクを包丁(ほうちょう)でななめに切って2つに分ける。この状態で左右から押さえつけてみよう。コンニャクは少しずつつぶれて、ある瞬間(しゅんかん)に包丁の切断面で大きくずれる。この切断面が活断層で、動いたときが地震が発生したときだ。

断層の中には、過去にくり返し動いて地下で地震を起こし、将来も動く可能性があるものがある。これが活断層だ。1995年の阪神大震災は活断層による地震の代表例で、熊本地震もそうだ。地下の浅いところで発生するため、地上が大きくゆれ、建物に被害(ひがい)が出やすい。

「活」の文字から活動的とか活発というイメージがうかぶけど、活断層は1000年から数万年はじっとしているんだ。その間はひずみをためていて、限界に達するとずれ動いて地震が発生する。

断層はずれ方によって「逆断層」「正断層」「横ずれ断層」がある。逆断層は両側から押しつけ合うように力が働き、片方の地盤がもう一方に乗り上がる。日本で最も多いのがこのタイプだ。正断層は地盤が両側に引っ張られ、一方がずり落ちる。地盤が横にすれちがうようにずれるのが横ずれ断層だ。熊本地震は横ずれ断層が動いた。

断層の中にはずれ動かずに、地震が発生しないものもある。こうした断層は非常に古い。日本列島はおよそ260万年前を境(さかい)にして、大きく変わった。火山活動が活発になり、大きな山や盆地などができた。原因はよくわかっていないけど、日本列島の地下にかかる力の方向が大きく変化したかららしい。断層にかかる力が変わったから、約260万年よりも古い断層は地震を起こさないと考えられている。

2011年の東日本大震災は活断層で起きる地震とは仕組みがちがう。地球の表面は、厚さが数十キロメートルを超す巨大な板状の岩盤におおわれている。これが「プレート(岩板)」だ。陸側のプレートと、その下にしずみ込む海側のプレートの境界で発生した地震が東日本大震災なんだ。

日本は4枚のプレートがぶつかり合って、地下には様々な力がかかっている。このためたくさんの活断層ができ、2000以上も見つかっている。地下にかくれて地表からはわからない未知の断層も数多くあるはずだ。日本では大きな地震はどこでも起こりうると考えて、準備をする必要があるね。

■長い断層ほど大地震に

博士からひとこと 活断層が長くなるほど、地震が発生したときの規模(きぼ)は大きくなる。断層がずれ動いた幅も大きく関係する。日本で起きた内陸直下型の地震で最も大きいのが1891年に岐阜県で起きた「濃尾(のうび)地震」だ。地震の規模を示すマグニチュード(M)が8.0で、岐阜県と愛知県で7000人以上の死者が出た。
地震を引き起こした根尾(ねお)谷断層は長さ80キロメートル近くにわたってずれ動いた。上下のずれは6メートルにも達した(写真)。熊本地震を起こした断層のずれは長さが約35キロメートル、上下のずれは1メートルを超すくらいと分析されているから、いかに濃尾地震が巨大だったかがわかるよね。

(取材協力=坂口有人・山口大学教授)

[日経プラスワン2016年6月4日付]

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