極薄名刺入れ・自作メモパッド… 文具、頼れる相棒

仕事ができる人が持っている文房具を見て、「こんな物があるのか」と驚いたことはないだろうか。かゆいところに手が届く道具は、仕事の効率を上げるだけでなく、チャンスを広げたり、取引先に良い印象を与えたりする。周囲から一目置かれる上級者向けアイテムを専門家にきいた。

サッと筆記用具

「名刺を渡したいのに名刺入れを忘れた」。こんな経験をした社会人は少なくないだろう。文具コンサルタントの土橋正さんは、緊急対応用に紙製の名刺入れを財布に入れている。「ロンド工房 カートリッジ」という商品で、厚さ0.5ミリと超薄型だ。予備の名刺を直接財布に入れると汚れてしまうが、これがあれば安心だ。紙製でもしっかりとした作りで、名刺交換時に見えても問題はない。

とっさにメモとペンが必要になる時もある。土橋さんは、超薄型の小さなメモ帳「ライフ メモランダム」と、全長83ミリで使用時に伸びるボールペン「ゼブラSL―F1mini」も財布にしのばせている。「海外出張時に飛行機の中で出入国カードを書くときなどにも、すぐ財布から取り出せる」(土橋さん)

デスクワーク用の筆記具は、自分が書きやすいペンを使うのが一番だが、一歩進んだ使い方ができる製品もある。「水性ダーマトグラフ」は色鉛筆だが、金属やプラスチックなどツルツルした表面にも書ける。土橋さんは、クリアファイルに直接タイトルを書くときに使うという。水でぬらしたティッシュで拭けば消せるので、ファイルの中身を変えた場合は書き直すこともできる。

ファイル選びでも仕事の快適さは変わってくる。「ペーパーホルダータント」は一枚の紙を折って作られているファイル。着物の襟を思わせる形で、書類の使用頻度によって3通りの入れ方ができる。一番奥のポケットにはあまり出し入れしない書類、一つ上のポケットはすぐに使う書類、最も外側のポケットは出し入れが激しい書類、といった具合だ。A4サイズの紙なら10枚程度入る。

蛇腹状の一筆箋

客先で使うノート選びにも一工夫を。ビジネスコンサルタントの鈴木真理子さんは、取引先との打ち合わせには伊東屋の「リーガルパッドL」というA4変型サイズのメモパッドを使う。ノートはページをめくると他社の情報が見える恐れがあるが、これなら一枚ごとに切れるので安心だという。「会社に戻ったらメモは取引先ごとのファイルに入れる。患者のカルテのように取引先ごとに情報を管理すれば相手に安心感を与えられる」(鈴木さん)

外に持っていくメモパッドを自作する手もある。「ポスタルコ スナップパッドA4」は、ミスコピー用紙を外に持ち出してメモ用紙にするため作られた。2穴パンチで穴を開けた紙をとじれば、立派なメモパッドとして活用できる。「セミナーを受講する時は、プリントアウトした資料に穴を開け、とじて持っていく。そのまま資料に書き込んで、ファイル兼ノートとしても使える」(土橋さん)

ビジネス上級者向けの一筆箋としては「榛原 蛇腹便箋」がおすすめ。その名の通り蛇腹状になった便箋で、折り目が全てミシン目で切り取れる。1枚で書き終えるのも、長く書くのも自由自在だ。一枚に書ききれず書き直す、ということもなくなるだろう。一筆箋を使うときや宛名書きには「ぺんてる 筆タッチサインペン」がおすすめだと土橋さんは話す。ペン先だけが柔らかいサインペンで、筆ペンが苦手な人でもきれいに書ける。

仕事をしていると、あっという間に一日が終わる。やるべきことをリスト化しても、結局やり残しが出る。それは時間の概念を持たず予定を書いているからだと気付いた土橋さんが開発したのが「時計式ToDo管理ふせん」。午前と午後、2つ並んだ文字盤に、やるべきことを書き込む。やり終えたらグレーの色鉛筆で塗る。「何時までに終える」という意識を時計盤でビジュアル化すると、自然にかかる時間が減るという。

これらの文房具は全てデザイン性が高い。伊東屋の銀座インフォメーション主任、中村里佳さんは「間に合わせで買った物は、間に合わせにしかならない。デザインで妥協せず、気分よく使える品を選んだ方がいい」と助言する。最後の基準はそこにある。

(ライター ヨダ エリ)

[日本経済新聞夕刊2016年5月30日付]