罪の終わり 東山彰良著崩壊後の世界、圧倒的な迫力

(新潮社・1500円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

久々に圧倒的な迫力のポスト・アポカリプスSFである。

小惑星大接近に伴う、その影響で食物が枯渇し、一部人類が、飢餓から逃れるために、最悪の禁忌とされる行為に走る。

本書はそのタブー破りを肯定する、飢えの時代の救世主伝説。黒騎士と呼ばれる彼は、母殺しの他、聖書を思わせるエピソードの数々に包まれているが、どこかヒーロー伝説に近いノリ。

語り手が入念なリサーチをもとに検証するという趣向で、崩壊後のアメリカの凄惨な光景を描き出し、息苦しくなるほどだ。けれども、どこか透明で理性的な目線があるのも印象的。極貧の人が子のためにパンを盗む。これを裁くのにどういう想像力が必要なのか。究極的な問いがそこに見えるからだ。

★★★★

(ファンタジー評論家 小谷真理)

[日本経済新聞夕刊2016年5月26日付]

★★★★★ 傑作
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…

罪の終わり

著者 : 東山 彰良
出版 : 新潮社
価格 : 1,620円 (税込み)

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