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デジタルライフ

音楽アプリ、ライブ感覚 有名会場の音響を再現

2016/5/19付 日本経済新聞 夕刊

この曲を東京ドームで聴いたらどうだろう――。有名なライブ会場の音響特性に合わせ楽曲を再生したり、聴くシチュエーションを模したりする音楽アプリが登場している。ライブや音楽フェスに行けなくても、スマートフォン(スマホ)で臨場感を楽しめる。聴き慣れたお気に入りの曲を、ひと味違ったアレンジで試してみては。
あたかもライブに来ているような感覚で楽曲を聴けるアプリ「リアルライブ」

「券が取れなかったアリーナツアーの光景が目に浮かぶよう」。東京都内に住む男性会社員(31)はスマホに付けたヘッドホンで音楽を聴きながら、うれしそうに話す。無料のアプリ「リアルライブ」を使って、好きなアーティストの曲を再生している。ソニーグループのコンサートホール運営会社、Zeppホールネットワーク(東京・港)が4月から配信を始めた。

■歓声や拍手選べる

東京ドーム、さいたまスーパーアリーナ、横浜アリーナ、国立代々木競技場第一体育館、Zepp東京……。アプリは全国11会場で響く音の特徴を反映して再生する。開発担当者がコンサートホールやイベント会場を渡り歩き、音響データを分析した。例えば東京ドームでは、音の響きが大きく聞こえる残響音が強めになっている。再現の度合いには自信があるようだ。

大歓声や拍手はライブの盛り上がりを左右する要素だ。このアプリでは4種類の歓声や拍手のパターンを用意し、自由に楽曲に乗せられる。歓声は「ロック」なら外国人中心、「ガールアイドル」なら男性中心になる。音質も、低音域重視やメリハリがあるなど4種類から、好みの演出を選べる。米アップルのiOSや米グーグルのアンドロイドが基本ソフトになっている端末で聴ける。

Zeppホールネットワークの事業運営支援室プランニングチーム、萩原要チーフプロデューサーは「ライブ会場に来ない人にも楽しんでもらいたい」と開発の意図を語る。

他の楽しみ方もある。楽器を演奏する人なら「自分が演奏した曲を録音してから再生すれば、有名会場で演奏している気分になれる」(萩原氏)。アプリで再現できる会場は続々と加わる予定だ。

音楽情報のネットサービスを手掛けるライブファンズ(川崎市)のアプリ「ライブファンズ」は、過去の公演の曲順通りに「コンサートホール」「ライブハウス」など、おおまかな会場の種類に分けて再現してくれる。例えばスマホにアルバムごと楽曲を保存していれば「10年前のツアーの東京ドーム公演が聴きたい」とアプリ上で指定すると、当時の曲順に自動で並び変わって再生する。登録されている公演数は18万件にもおよぶ。

■好きな曲アレンジ

好きな1曲の楽しみ方を増やすアプリもある。「ライブユー」は、どんなシチュエーションで聴くか7種類から選べる(無料版)。歓声が入り音響が響く「満員ドームライブ」、あえて低音の響きを少なめにしてラジオ放送の味わいを出す「壊れかけのレディオ」、女性の歓声を多くして体育館で聴いているような「女子高生文化祭」といった内容別にエフェクト(効果)をかけて再生できる。

120円の有料版はさらにクラシックホールのような「西日の差す教会」、強めの低音で迫力の出る「真夜中の映画館」など、3つのシチュエーションが加わる。サイバーエージェントグループのアプリ会社、グッドロイド(東京・渋谷)がiOS端末用に配信している。

高音や低音がはっきり出るような「イコライザー」や残響音「リバーブ」の強弱を自分で調整でき、シチュエーションと組み合わせられる。4月末時点で約15万ダウンロードを突破した。アライアンス事業部の田辺康樹プロデューサーは「1曲で何種類も違ったアレンジを楽しめることが好評」と話す。

スマホの性能が進化し、定額配信サービスも充実してきた今、音楽を聴く環境はますます良くなっている。音楽アプリを使えば、リフレッシュの効果も大きくなるかもしれない。

(企業報道部 中藤玲)

[日本経済新聞夕刊2016年5月19日付]

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