このエッセイ集の凄(すご)さは次の一言に集約されている。「悲しみを呑みこんでがれきのなかを歩きまわり、運良く自分に必要なものが見つからないかと丹念に執念深く探すひとたちのように、こつこつと私は自分の小説を書きつづける。(中略)そこから、なにが見つかるのだろう。それを、私は『希望』と呼んでもいいのだろうか」
東日本大震災と福島第一原発事故の後、津島さんはずっと自分が小説を書くことは何か、それはどういうことなのか、と疑問を呈し続け、それこそ「こつこつと」書き続けた。その歩みの中で記された言葉に、胸を衝(つ)かれる思いだ。
二月に急逝した作家の遺(のこ)した言葉を何度も読む。ずっと読み続けたい一冊。
★★★★
(批評家 陣野俊史)
[日本経済新聞夕刊2016年5月12日付]
★★★★★ 傑作
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…