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スマホで資産管理 口座情報、クラウドで収集 家計にフィンテック(1)

2016/5/11付 日本経済新聞 朝刊

マネーフォワードのアプリ画面
 友人が「最近、流行の『フィンテック』だ」と、スマートフォン(スマホ)の家計簿アプリを見せてくれました。便利そうではあるけど、ネットバンキングなどと何が違うのか、安全なのか疑問です。どんなサービスなのでしょう?

 フィンテックは金融(フィナンシャル)と技術(テクノロジー)を合わせた造語だ。正式な定義はないが、情報技術(IT)を使った新しい金融サービスを意味する。日本で人気なのが家計管理サービスだ。

 主なサービス提供者はマネーフォワード(MF、東京・港)やZaim(同・渋谷)。希望者は自分の銀行口座やクレジットカードなどの情報を登録しておけば原則、自動で入出金状況や利用明細が更新される。

 1990年代末から複数の銀行口座などの情報をネットで一覧できる「アカウントアグリゲーション」というサービスは存在した。しかし「当時と現在では利便性に格段の差がある」(MFの瀧俊雄取締役)。

 昔はパソコンを起動させないと口座情報を収集できないのが一般的だったが、現在は端末の状態によらず随時、情報が更新されるのが主流。スマホがあれば日々の支出を記録する家計簿機能が使えるだけでなく、預金残高などをほぼリアルタイムで把握できる。

 進化のカギは「クラウド化」だ。個人の端末ではなく、ネット上でサービス運営者のサーバーが常に動き、金融機関から必要情報を集めて回る。連携する金融機関やサービスはMFが2580以上、Zaimも約1500に上る。最近は電子マネーやマイル、ネット通販の購入情報なども自動的に収集される。

 ただ、利便性が増すほど不安になるのがセキュリティーだ。MFやZaimは利用者情報を暗号化して保管する一方、預かるのは残高照会などに必要なIDやパスワードに限定。資金移動に必要な暗証番号などは預からないため、最悪の場合にも利用者のお金が不正に動くことはない。

 さらに、今後はIDでさえ預ける必要がなくなるかもしれない。金融機関がAPI(異なるプログラムが情報連携するための規約・仕様)を家計簿サービス運営会社に提供すれば、個人IDは必要なくなる。

 「個人IDは『誰でも使えるカギ』、APIは『特定の人しか使えないカギ』」(瀧取締役)。APIは特定のサーバーから接続した時のみ有効で、万一の場合はすぐ無効化できるため、他人に個人情報を盗み見られる恐れはより低くなる。MFは今年、住信SBIネット銀行、静岡銀行とこのAPI連携を始めた。

 みずほ総合研究所金融ビジネス調査室の山村晋介主任研究員は「API連携が普及すると、家計簿アプリを土台に様々な金融サービスがつながる」と話す。資産状況を基にネットで運用の助言を受けたり、迅速に決済ができたりする仕組みが考えられるという。

[日本経済新聞朝刊2016年5月11日付]

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