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スマート医療、街ぐるみ 大分・臼杵

病院や歯科・介護・消防… 情報連携、安心支える

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NIKKEI STYLE

検査結果や薬歴など様々な患者の情報を地域の医療機関で共有できれば、安全で無駄も省いた「スマート医療」の実現に役立つ。介護事業所や救急隊までがその情報網に参加すれば、年を取っても自宅で安心して暮らし続けることができる環境がさらに整うだろう。大分県の小さなまちがそんな情報連携網づくりに挑戦し、成果を上げつつある。

迅速に症状判断

国宝の石仏で有名な大分県臼杵市。今年2月、市消防本部に高齢男性が意識を失って倒れたとの通報が入った。救急車の出動と同時に、本部では「うすき石仏ねっと」と呼ぶ情報システムに家族から聞いた氏名などを入力し検索した。すると、この人は糖尿病であることが判明。治療中は血糖値が下がって意識障害が起こることもある。

救急隊は現場到着後、この情報を基にすぐ患者の血糖値を測定したが、低血糖状態ではなかった。そこで石仏ねっとで調べたかかりつけ医にも連絡し、協議した結果、脳卒中の疑いが強まった。結局、この患者は隣の市にある専門病院にスムーズに搬送された。

患者情報は迅速な対応に極めて有用だ。消防本部での石仏ねっと活用は昨年10月から始まったばかりだが、甲斐博明・消防司令補は「今後は救命率も向上するのでは」と期待する。

臼杵市は大分県南東部にあり、人口は約4万人。ここで医療や介護の情報を連携させた先進的なシステムが稼働し始めたのは2008年から。国の補助金などを利用し約2億円をかけて整備し、医師会や市が共同で運営する。年間運営費は1600万円ほどという。

ここ1~2年でネットワークは急速に拡大。市内の病院や診療所、薬局、歯科医院、介護事業所の大半が参加するようになった。

市民が登録に同意すると、無料で「石仏カード」が交付される。通院の際にカードを提示すれば、その医療機関の端末にこれまでの受診記録、検査結果、薬歴などが瞬時に表示される。緊急時には患者のカード無しでも一部の情報は取り出せる。

登録する市民は約9千人に増えた。65歳以上だけなら半分以上にも達する。全国で同様のシステムづくりの動きはあるが、ここまで広がるのは珍しい。

救急以外にも様々な場面で役立っている。市内のコスモス病院では、増え続ける糖尿病患者を専門医1人で効率的に治療するため、重症患者は病院、軽症は患者のかかりつけの診療所で診てもらう体制を取る。ただ軽症患者も年に一度は専門医の診察や細かな検査を受け、その情報をシステムを使って診療所の医師と共有している。状態をしっかり管理するためだ。

医療費も低下傾向

この結果、状態が安定しない患者の比率が下がってきた。透析に至る患者数も抑えられている。

薬局では「検査結果を見ることができるので、主治医と相談してより患者に適した薬への変更も可能になった」(萬里薬局の神田秀一郎・薬剤師)。糖尿病を治療中の男性患者(58)も「今飲んでいる薬と飲み合わせの悪い薬がすぐわかり、とても便利」と話す。

今年からは介護計画をつくるケアマネジャーの事務所や訪問看護事業所が参加し始めた。自宅で介護を受けていた高齢者が入院する場合、自宅ではどんな暮らしぶりだったかといった情報を病院側と共有する。

入院中に体の機能が低下する例は多い。こうした情報があれば「医療職と介護職が協力し、元の状態を維持しようとの意識が高まる」(コスモス介護支援センターの村上達郎・介護支援専門員)。

情報連携だけが原因とは言い切れないが、同市では75歳以上の1人当たり医療費が12年度をピークに低下傾向を示すなど、前向きな変化が起きている。医師会や市では今後、健診や母子手帳の情報なども取り込み、若い世代の参加を促す考えだ。中野五郎市長は「市民が安心して暮らしやすいまちをつくれば、市外からの移住・定住にもつながる」と期待している。

◇     ◇

連携システム、全国に200以上 成否のカギはキーパーソン

全国には200以上の地域に医療情報の連携システムがあるという。ただ参加する医療機関が限られるなどうまく機能しないところが多い。日本医師会総合政策研究機構の上野智明氏は成功のカギとして「情熱を持ち全体を引っ張るキーパーソンの存在」を挙げる。

臼杵市では市内唯一の総合病院であるコスモス病院の医師と臨床検査技師の2人が中核となった。小さなまちで関係者の調整がしやすい利点もあった。

政府もマイナンバー(税と社会保障の共通番号)システムを活用して、国全体で医療や介護の情報連携を進める方針を掲げる。しかし個人情報保護など課題も多い。全国どの医療機関にかかっても、その患者の治療記録などが即座にわかるようなシステムの実現には時間がかかりそうだ。

(編集委員 山口聡)

[日本経済新聞朝刊2016年5月8日付]

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