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敬語の使いこなし術(下) 簡単ルールで印象アップ 「ありがとうございます」「申し訳ございません」 一言添えて気配り上手に

2016/4/28 日本経済新聞 夕刊

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「複雑すぎてうまく使いこなせない」「かえって堅苦しい感じになる」――。そんな理由から、つい敬語を敬遠している人もいるかもしれない。だが、ポイントと簡単なルールさえつかめば、敬語を使うのはそれほど難しいことではない。上手に敬語を取り入れ、印象度を上げるにはどうすればいいか、専門家に聞いた。

普段、自分がどんな話し方をしているか、あらためて振り返ってみよう。

「部長、電話。田中さんから」「それ、私がやっときます」。こんな言い方をしていれば要改善だ。「間違った表現ではないが、社会人としては配慮が感じられない。いくつか言い回しを変えるだけで丁寧さが増す」と、スピーキングエッセイ(横浜市)取締役講師代表の大嶋利佳さんは指摘する。

■状況で言い換える

上司に電話がかかってくれば、「部長、お電話です。田中様からです」などと、「~です」と丁寧語の「お」を使い、語尾までしっかり伝える。「それ、私がやっときます」は、「その仕事は私がします」とすればよい。「私がいたします」と言えば、さらに丁寧な響きになるだろう。

このように日常会話の中に積極的に敬語を取り入れれば、「きちんとした人」という印象をアピールできる。

一言添えるだけで気の利いた印象を与える言葉が「ありがとうございます」と「申し訳ございません」だ。

「お宅の商品をいつも購入しています」と言われて「そうですか」などと返したのでは、相手も拍子抜けしたり、むっとしたりするかもしれない。「『いつもありがとうございます』と返事するよう心がけるといい」と、メディエテ(東京・渋谷)代表でコミュニケーションコンサルタントの小林作都子さんは助言する。

実は「ありがとうございます」はさまざまな場面で「あいづち」のように使える言葉という。「ご協力いただき、ありがとうございます」「お時間をいただき、ありがとうございます」「ご配慮、ありがとうございます」などだ。

「申し訳ございません」も、社会人になると使うシーンが増える。「この商品の在庫はありますか」という問い合わせに対し、「ありません」だけでは、先方も落胆や不満を募らせてしまう。

「ご希望に添えず、申し訳ございません」「ご迷惑をおかけしまして、申し訳ございません」といった言葉を添えると相手の気持ちも和らぐ。

ただし、いずれも「口先だけ」との印象を与えると、かえって相手を不快にしてしまう。「心をこめて言葉にすることが大事」と小林さんは強調する。

普段の言葉遣いにちょっとした敬語を取り入れられるようになったら、今度は頼みごとなど、言いにくいことを敬語で表現してみよう。

企業、個人向けのスピーチ研修を手掛けるKEE'S(東京・渋谷)代表取締役社長、野村絵理奈さんによれば、頼みごとをする際には、「クッション言葉」+「言いたいこと」+「依頼の語尾」の順に話すとスムーズにいく。

■表現を和らげる

クッション言葉とは、表現を和らげるため、言葉の前に付ける言葉のこと。「恐れ入りますが」「申し訳ございませんが」「お手数をおかけいたしますが」などだ。

「ここに住所を記入してください」ではぶっきらぼうな感じだが、「恐れ入りますが、こちらへご住所を記入していただけますか」と話せば受け入れられやすいだろう。

何かを断りたいときもクッション言葉が役立つ。「クッション言葉」+「言いたいこと」の後に「代案内容」+「依頼の語尾」を付ければよい。

例えば、都合の悪い日に面談を申し込まれたときは、「来週の水曜日は別の予定が入っています」だけですませず、「申し訳ございませんが、当日は別の予定が入っております。空いている日程を調べますので、少々お待ちいただけますか」などと返事する。

「ご迷惑をおかけして恐縮ですが、ご注文のシリーズは売り切れております。今月発売した別のシリーズをご紹介したいと存じますが、いかがですか」と伺いを立てるのもいい。このようにポイントと簡単なルールさえつかめば、敬語を使い、自分の印象度を上げることは可能だ。

敬語は相手への思いや尊敬を伝える贈り物にもなれば、交渉やアピールの道具にもなる。上手に会話に取り入れ、コミュニケーション力の向上を目指そう。

(ライター 西川 敦子)

[日本経済新聞夕刊2016年4月25日付]

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