乗り合い車で秘湯へGO 秋田・湯沢で2次交通整備山中の「泥湯」「川原毛地獄」、インバウンドも受け入れやすく

2016/10/29付
横浜市の男性は乗り合いタクシーで、妻と初めて秘湯「泥湯」を訪れた(秋田県湯沢市)
横浜市の男性は乗り合いタクシーで、妻と初めて秘湯「泥湯」を訪れた(秋田県湯沢市)

秋田県内の公共交通ではアクセスしにくい観光地で「2次交通」の整備計画が相次ぎ動き始めた。湯沢市は10月中旬から山間部の温泉地を結ぶ乗り合いタクシーを試験運行し、仙北市も年内に周遊バスの実証実験を予定する。2次交通整備は公共交通で訪れるインバウンド(訪日外国人)の取り込みにも不可欠。県も様々な国の交付金を活用し、実現を後押ししている。

「初めて泥湯や川原毛地獄に行けた。紅葉もきれいで感動しました」。25日朝、栗駒山に近い湯沢市南部の小安峡温泉から予約制の乗り合いタクシー「こまちシャトル」を利用した横浜市の男性(63)が満足げに笑う。10年ほど前に仕事で赴任した秋田を気に入り、今も年に3回は遊びにきているが、運転免許がないため、秘湯の「泥湯」や「川原毛地獄」を訪れたのは初めてだという。

小安峡や秋の宮温泉郷など、湯沢市の主要観光地は山間部に点在している。JR湯沢駅や横堀駅から、1日4本のバスか事前予約が必要な乗り合いタクシーを利用するしかなく、個人観光客のハードルは高い。

中でも恐山(青森県)などと並ぶ日本三大霊地の一つとされ、緑豊かな山中に突如、荒涼とした灰色の山肌が現れる川原毛地獄は車が無ければ行けなかった。紅葉シーズンの10~11月になると、市に「どうやって行けるのか」という問い合わせが日に数件あるという。

これでは観光客の取り込みもままならない。市は今年8月、観光関連団体や交通事業者、温泉組合などで2次交通の整備を進める協議会を設立。10月15~30日には予約制のこまちシャトルを試験的に無料で走らせ、利用者の動向調査を始めた。コースや料金設定を検討し、来年度以降に本格運行したい考えだ。

乳頭温泉郷や角館の武家屋敷などが点在する仙北市も悩みは同じ。同様に協議会を立ち上げ、循環バスなど2次交通の観光路線新設を検討している。JR田沢湖駅を起点に角館駅や田沢湖畔などを回る2ルートを想定。早ければ年内にもバスやジャンボタクシーで実証実験を行い、来年度の本格運用を目指す。

仙北市を訪れる観光客数は2000年代の前半には年間600万人を超えていたが、東日本大震災後に激減し、近年も500万人台にとどまる。一方で外国人の個人客は増加傾向。公共交通から接続する2次交通の整備は「古くて新しい課題」(秋田県観光振興課)だった。