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オリパラ
2020年から見える未来

2017/9/7

2020年から見える未来

大和ハウス工業・大野直竹社長

五輪の少し前から調整段階に

大和ハウス工業の大野直竹社長

マンションを筆頭に不動産価格が上がっている。東京五輪・パラリンピックを起爆剤に、土地の調達競争が過熱しているのは否定できない。この状況で無理に案件を積み上げようとすれば、都心部での不毛な競争に巻き込まれる。大和ハウスはいたずらにマンションの数を追わない。

本来、不動産は場所によって適性が異なる。不動産の本当の価値は、活用することでどれだけの収益を生むかで決まるからだ。住宅なのか商業施設がいいのか、土地オーナーやテナントとの対話を深め、本当に必要とされる使い方を探らないといけない。

それには高度なノウハウが必要だ。他社と同じことをやって売上高を伸ばせる時代ではない。社員には「明日、あさっての需要を考えろ」と話している。

昨今の建設ラッシュは五輪・パラリンピックの少し前に調整段階に入るだろう。どこの国でも五輪後に景気が冷え込むことは、歴史が証明している。19年秋に消費増税が予定され、今は追い風の低金利もいつか終わるはずだ。

人口減少、少子高齢化の時代はすでに始まっている。五輪・パラリンピックの後押しがあるうちに、その後の街づくりはどうあるべきかを議論する必要があるのではないか。例えば、移民を受け入れるかどうかで街に必要な施設も変わってくる。

大成建設・桜井滋之副社長

特需は一部、受注途切れず

大成建設の桜井滋之副社長

2018年3月期の連結受注高は5年連続で1.6兆円を超えそうだ。好採算工事が多く、利益水準もバブル期を上回っている。首都圏を中心にオフィスビルやホテルの需要が旺盛だ。

1970~80年代前半に竣工した建築物が老朽化し、更新期を迎えているのが背景だ。首都圏への人口集中も後押ししている。東日本大震災の復興関連や高速道路などのインフラといった土木関連も多い。需要の増加は構造的なもので、東京五輪・パラリンピック特需と呼ばれる案件は一部にすぎない。大会後すぐに受注が途切れるようなことはないだろう。

目下の課題は、受注残を消化する能力に余裕がなくなってきたことだ。高齢化で建設現場を担う技能労働者が減っている。働き方改革で週休2日の導入を進めており、1人当たりの作業時間も短くなる。

人手確保に向けては、下請け業者との関係強化が重要だ。研修施設を開放して技能労働者の育成を支援したり、後継者への経営ノウハウの共有など事業継承をサポートしたりする取り組みを進めている。

省人化や生産性向上も進めなければならない。コンクリート部材をあらかじめ工場で作るプレキャスト工法の導入を広げる。人工知能(AI)やロボットの研究開発も重要なテーマになる。

[日本経済新聞夕刊2017年8月7日付、朝刊13日付、同25日付を再構成]