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2020年から見える未来

建設の五輪特需いつまで? 経費抑制、ドローンも駆使 足元は受注消化の余裕なく、大会後の冷え込みに警戒

2017/8/13付 日本経済新聞 朝刊・夕刊

工事が進む新国立競技場の建設現場(7月)

 2020年の東京五輪・パラリンピックまで3年を切り、活況に沸く建設業界。だが鋼材など資材の需要が急増し、素材メーカーからは値上げ圧力が強まっている。地価も上昇しており、人手不足は一段と深刻だ。建設各社の対応策をまとめるとともに、大手2社のトップに今後の見通しについても聞いた。

 「東京五輪・パラリンピック関連の再開発や物流施設などの工事が始まり、7月以降に受注環境は好転している」。電炉最大手、東京製鉄の西本利一社長は下期に向けた手応えを口にする。4~6月の鋼材販売は60万トンとなり、前年同期に比べて2割増えた。ビルの鉄骨に使うH形鋼の出荷が増えている。

 日本鉄鋼連盟はホテルなどを含めた関連の鋼材需要を200万~300万トンと試算。新国立競技場のスタンド部分では3万トンを超える鉄骨が使われ、バレーボールに使う有明アリーナでも鋼材使用量は2万トンに達するもよう。五輪施設の鉄骨加工を請け負った業者では納期である年末まで、鋼材の切断や溶接加工で予定が埋まっている。

 国産木材の利用も増える。交流拠点に使う東京五輪の選手村ビレッジプラザは国産材を用いた木造建築とする計画だ。新国立競技場はデザイン面の特徴である屋根部分に、スギやカラ松といった国産材を約1800立方メートル使用する見通しだ。

 施設の基礎部分などに使う生コンクリートは工事進展に伴って出荷が増えている。東京都心の生コン製造会社が加入する東京地区生コンクリート協同組合(東京・中央)によると、今年4~7月の出荷量は前年同期比約2割増の高い伸び率となった。五輪関連の出荷量は約117万立方メートルを見込み、同協組の16年度出荷量の4割強を占める。

 荷動きの回復を受け、値上げ機運も高まっている。鉄鋼市場では新日鉄住金が昨年度の1トン2万円の値上げに続き、今年度も5千円の値上げを表明。鋼材需要の回復を材料に、下期に向けて強気の交渉を続ける。値上げ浸透が遅れている流通市場でも、「五輪関連の需要が本格化する秋に向け、何とか値上げのきっかけとしたい」(千葉県浦安市の鋼材問屋)との声が上がる。

 生コンクリートも値上げの動きが出ている。東京地区生コンクリート協同組合は販売価格を12月契約分から1立方メートルあたり1千円(7%程度)引き上げる。ゼネコン(総合建設会社)が値上げを受け入れるかに関心が高まりそうだ。

 相次ぐ着工で人手の確保が本格化する。リクルートワークス研究所(東京・中央)は五輪開催に伴う人材ニーズを、全就業人口の1.3%にあたる81.5万人と予測。うち33.5万人を占める建設関連は一足早い18年、その他の業種は20年にピークを迎える見通しだ。

 賃金水準にも影響がみられる。転職サイトを運営するエン・ジャパンによると、求人サイトに掲載された建築・土木技術者の年収の中央値は、7月に前年同月と比べ2.6%上昇した。深刻な人手不足を受けて、ゼネコンや不動産会社は建設現場での作業効率の向上に乗り出した。

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