腰や背中の痛み、放置しないで

腰背の痛みを引き起こす病気の中で一番多いのが、腎臓・泌尿器科系由来の疾患だという。

腎臓は血液の老廃物を除去する働きがあるので、正常に働かなくなると毒素が体内にたまる。腎臓そのものは痛まないが、腰痛のほかに、排尿の違和感、トイレが近い、血尿や食欲不振、発熱なども鑑別法としてある。腎臓結石などの尿路結石は激痛を伴い、腎盂炎や腎炎の場合は高熱と腹痛・背中の痛みがある。

消化器系由来の疾患では胃潰瘍があるが、腹やみぞおち以外に腰の痛みを訴える人がいる。通常の痛みと違うのは食事と関連して出ること。十二指腸潰瘍は空腹時に腰が痛くなる。肝臓で分泌される胆汁の貯蓄をする胆のうが原因のこともある。胆汁の成分が固まってできる胆石や、発熱が起きる胆のう炎でも腰痛が起きる。

すい臓は、炭水化物や脂質、タンパク質を分解するすい液消化酵素を分泌する臓器だが、臓器内の細胞破壊で背中に痛みが発生するすい臓がんなどがある。

心筋梗塞や大動脈解離などでも背中が痛む。突然の激しい、耐え難い痛みに加え、息切れも起きる。

なんとなく腰背が痛く、どこの医療機関に行ったらいいのかわからないときには、総合診療科に相談するといいだろう。病名がわからないまま、いくつかの治療法を組み合わせて対処しようとすると診断が複雑になり、「薬が増え、医療機関を渡り歩くことになる」と瓜田さん。

福岡県に住む79歳の女性は腰や背中が痛いと言って九州大学病院名誉教授で原土井病院(福岡市東区)総合診療科の林純さんの診療を受けた。女性は孫と遊んだので腰背が張ったのだと思い込んでいたが、林さんは患者が貧血気味なのをみて、痛み止めを出す前に血液検査をした。それで胃潰瘍をつきとめた。

■多方面から探索

複数の疾患が絡み合っている場合、専門の診療科では原因がなかなか分からず、十分な医療を提供できないことがある。総合診療科は1カ所で内科や外科など様々なアプローチから原因を探り、痛みのある場所以外の異常も見つける。現在、受診できる病院は全国に約300カ所ある。

医療機関の診断によって自分の腰背の状況がわかれば、生活を改善すればよいのか、治療が必要なのかがわかる。気がかりな痛みは放置せず、きちんと原因を突き止めるよう心掛けたい。

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■婦人科系の病気に注意

女性の場合、婦人科系疾患によって腰痛が起きることも多い。以前よりも生理痛が強くなったり不正出血が増えたりするなど、婦人科系の異常に注意することで、子宮や卵巣の病気がみつかることがある。

最近の傾向としては、「骨盤内感染症クラミジアにかかる若い患者が増えている」と東邦大学医療センター大森病院の瓜田さんは指摘する。

40~50代の女性では、自己判断で更年期障害ではないかと疑って婦人科を受診したところ、検査で異常がなくうつ病と診断されるケースもあるという。内臓の病気でないことがはっきりするまで原因を探ることが大切だ。

(ライター 高谷 治美)

[日経プラスワン2014年10月18日付]

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