ずらりと並ぶ空気清浄機…どう選ぶ?
清浄時間の短いものを
「子どもが小さいのでPM2.5や光化学スモッグが気になる。空気清浄機はぜひモノ」と言うのは東京都在住の女性会社員(40歳)。大手メーカーのデザインがすっきりした機種を選んだが「売り場では見た目しかわからないので、店員の説明を聞きたくて順番待ちの状況だった」と言う。
ヨドバシカメラによれば「今年の新製品の特徴はPM2.5への対応」(マルチメディアAkibaの礒部吉正さん)。大手各社はハウスダスト用のセンサーを充実させ、PM2.5を検知するとサインで知らせる機能を付けた。「センサー能力はどれも遜色ない」と礒部さんは説明する。
では何をポイントに商品選びをすればいいのか。まず、見るべきは清浄性能だ。それは「空気清浄時の適用床面積の目安」から判断できる。日本電機工業会規格で定められた項目で、規定の粉じん濃度を30分できれいにする部屋の広さを表したものだ。カタログのスペック表には「~40畳」などとあるが、40畳の部屋用という意味ではない。この適用床面積から算出したのが、8畳の部屋を何分で清浄にするかを示す「清浄時間だ」。適用床面積が大きければ大きいほど清浄時間が短く、清浄性能の高い機種ということになる。
「予算が許す限り、清浄時間の短いものを選ぶといい」と家電コーディネーターの戸井田園子さんは勧める。空気清浄機は空気をきれいにした後、自動的に静音モードの運転に切り替わる。フル稼働の時間が短ければ短いほど、静かで省エネにもなるというわけだ。「空気清浄機は一日中稼働させるのが前提で、電気代は運転モードが同じなら各機種で大差ない」
もっとも、これらの指標は日本電機工業会に加盟するメーカーに義務付けられるもの。スウェーデンのブルーエアは米国家電製品協会が定めるクリーンエア供給率(CADR)を採用しており、一律には比較できないが「清浄力に関してはブルーエアが強みを見せる」(戸井田さん)という。
「加湿」マメにお手入れ
国内大手が力を入れるのが加湿機能付きの空気清浄機だ。脱臭や集じん用に加えて加湿フィルターも備え「フィルター10年交換不要」をうたうものが主流。フィルターのランニングコストはかからないが「取扱説明書をよく見ると、実際にはどれも定期的な手入れが必要」と戸井田さんはみる。
特に加湿フィルターは加湿機と同様、日ごろの手入れが絶対に欠かせない。「加湿が不要になった時期に、うっかりフィルターを掃除し忘れてカビだらけということが起きやすいので要注意」(戸井田さん)
一方、加湿機能なしの空気清浄機だと、その分の手入れは不要だ。単機能型は海外メーカーや国内ベンチャー組が主流。こちらは定期的に集じん・脱臭フィルターの交換が必要で、特にブルーエアは半年に1度という頻度だ。一般家庭向きの中位機種でもフィルター代は年間1万6000円以上かかることになる。その代わり、定期的な手入れは一切不要なので、忙しい共働き世代には重宝する。
空気清浄機は循環気流を作り、汚れた空気を吸気する仕組みだが、気流の作り方には各メーカーで特徴がある。機器の前面から吸気して上部から排気するのが一般的だが、シャープは背面で吸気する。「部屋の四隅などホコリのたまりやすい所がきれいになる」(戸井田さん)
ブルーエアの中位機種は側面から吸気し反対側面から排気するので、左右が家具や柱で遮られていてはせっかくの清浄性能が発揮されない。購入の際には、家具の配置など室内レイアウトも確認しておきたい。
(福沢淳子)
[日経プラスワン2014年10月18日付]
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