円形脱毛症、治療は根気よく 注射と服薬組み合わせ

毛髪が急に、硬貨大に丸く抜ける病気が円形脱毛症だ。ストレスが原因と思われがちだが、これまでの研究で、体の免疫機能の異常が主な発症メカニズムであることなどが分かってきた。身近な病気であると同時に、症状が進むと治りにくい、やっかいなこの病気について専門家の話を聞いた。

平安時代に「頭を鬼に舐められた跡」という意味の鬼舐頭(きしとう)という言葉があったように、円形脱毛症は古くから身近な病気の一つであった。アメリカの調査では人口の0.1~0.2%に発生するというデータがあり、日本でも病院を受診する人は同程度の割合と考えられる。

ただ、一生のうちに円形脱毛症を経験する人は、もっと多いのではないか。横浜労災病院(横浜市港北区)皮膚科部長の斉藤典充さんは「頭に硬貨大の脱毛が1カ所だけある場合を単発型といい、その7~8割の人は自然治癒している」と話す。

■周囲に症状拡大

これまで、多くの人が円形脱毛症の原因はストレスにあると考えてきた。ストレスは誰でも何か抱えているので、不可解な脱毛が起きると、原因として結びつけられやすかったのではと専門家は考える。これまでの研究で、ストレスは脱毛の引きがねになることはあっても、根本的な原因は別にあるという。それは、自分自身の組織に対して免疫現象を起こす「自己免疫」反応だ。

斉藤さんは「脱毛が起きている皮膚組織を調べてみると、免疫細胞が自分の体の一部でもある毛根を攻撃しているのが見てとれる」と話す。最初は数個の毛根が攻撃対象だが、しだいに周囲に広がっていくため、丸い脱毛になるのだ。

ただ、毛根にはこうした攻撃から身を守るためのバリア機能が備わっている。自然治癒する例では、やがて脱毛が拡大する時期(進行期)が終わり、数カ月から半年かけて治っていく。

逆に、進行期が続いていると、脱毛箇所が複数に広がる多発型、頭髪全体が抜ける全頭型、さらには頭髪以外の体毛も抜けてしまう汎発型などに進むこともある。

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