■「在宅」1万人超

同センターは11年、小児の緩和ケアに精通した緩和ケア認定看護師や臨床心理士らで作る「こどもサポートチーム」を結成。多田羅竜平緩和医療科部長は「療養場所はどこであれ、継続的にサポートすることが大切。自宅での療養が難しくなればいつでも戻ってこられ、自宅で療養する子供や家族の安心にもつながっている」と語る。

国立成育医療研究センター(東京・世田谷)は16年、公的な医療機関として国内初の小児ホスピス「第二のわが家(仮称)」を開く。計画では、敷地内に3階建ての施設を建設、個室6室と4人部屋2室のほか、遊び場や学習室を備える。

阪井裕一総合診療部長によると、人工呼吸や酸素吸入などの医療的ケアが必要な子供は同センターだけで200~300人。全国では1万~1万3千人が在宅療養しているとみられる。「医療の進歩で難病や超低体重児、先天性疾患を持った子の命を助けることができるようになったが、退院後に在宅で生活するには様々な支援が必要」と阪井部長は語る。

横浜市でも小児ホスピスの構想が動き出した。NPO法人「スマイルオブキッズ」は8月、準備委員会を発足させた。約1億円の寄付を基ににチャリティーコンサートなどで2億円を集め、4年後に3~5家族が過ごせる施設を建てる計画。代表理事の田川尚登さん(57)は「音楽や工作など子供がやりたいことを専門家と一緒に思う存分できる施設にしたい」と話す。

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■発祥地・英国には40カ所 生活の質支える

小児ホスピスは1982年に英オックスフォードに開設された「ヘレン&ダグラスハウス」が第1号。英国には40カ所以上にあり、ドイツやオーストリア、カナダにも広がった。

浜田裕子・九州大学医学研究院准教授(小児看護学)によると、これらの施設では、重い病気や障害を持つ子供を広く受け入れ、教育や音楽、芸術などを通して成長を支えている。(1)発達途上にある子供のQOL(生活・生命の質)を支える(2)子供を一時的に預かり、介護負担の大きい家族に休息を与える(3)終末期にある子供とその家族に寄り添う(みとりのケア)――などの機能がある。

浜田准教授も医師らとNPO法人「福岡子どもホスピスプロジェクト」を立ち上げ、地域に根ざした小児ホスピス設立を目指している。

(藤井将太、編集委員 木村彰)

[日本経済新聞夕刊2014年10月9日付]

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