2014/10/7

朝・夕刊の「W」

作家が自ら主宰、もしくは参加する読書会も最近、注目されている。たとえば11年から東京ミッドタウンの「ukafe(ウカフェ)」で、甘糟りり子さんが不定期開催している「ヨモウカフェ」だ。

「課題図書は毎回、新刊小説。担当編集者を招き、本ができるまでのエピソードなどを披露してもらう」と甘糟さん。この出版秘話が、ほかではなかなか聞けないと好評だ。甘糟さんの著書を取り上げる回では、書き手と読者が直接対話できる醍醐味も。

取り上げる作品に合わせた、この日だけの特別メニューの食事やお酒を楽しみながら、甘糟さんと編集者のトークショーを聞いたあとは、参加者同士が課題図書について自由におしゃべり。「一冊の本をきっかけに、新たな交流が生まれる場になればいい」(甘糟さん)。

情報交換で視野広がる

「本は絶対、1人で読むな!」(潮出版社)の著者、中島孝志さんは「1人の読書は足し算型、読書会は掛け算型」と語る。5人いれば5通りの読み方がある。1人で読むより、多角的で広い視野を得られるのが読書会だ。

「本を誘い水に、複数の人から実体験に基づく知識、情報、アイデアを得ることもできる」。単なる感想大会にせず、プラスアルファのディスカッションを深めてこそ、意義ある読書会になるだろう。そのためにも情報交換はお互いに惜しみなく。刺激的な読書会にする鉄則だ。

思いどおりの会にするには、いっそ主宰してみるのも手。SNS時代の今、ブログなどを通じたメンバー集めは、それほど困難でない。「丁寧な読書会リポートをアップするなど、アピールは精力的に」

多様な情報交換のためには、バラエティーに富んだ年齢や職業の参加者を集めるのが理想だ。あとはとにかく継続する。「長続きのコツは、毎月第1月曜日など、定例開催日を決めて守ること」

読書の秋。本を通じて、人とつながってはいかがだろうか。1人きりだった読書の世界が一気に広がるはずだ。

(ライター 松田 亜希子)

[日経プラスワン2014年10月4日付]