肺に穴、息苦しい 気胸はストレス・寝不足も原因根治めざすなら手術

気胸は高齢者でも発症する。たばこの吸い過ぎなどで起こる慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎などの病気が影響する「続発性気胸」と呼ぶタイプだ。「高齢化社会になり、患者も増えている」(栗原センター長)

また女性では、毎月の月経に伴って症状が出る「月経随伴性気胸」がある。肺や横隔膜に張り付いた子宮内膜の一部が、月経ではがれ落ちることで穴が開くと考えられている。

肺にあいた穴は、小さければ自然に塞がることも多い。このため軽症で肺があまり縮んでいない患者では、気胸とわかっても安静に過ごすという治療を選ぶ例もある。

一方、大きく縮んでいる場合は「胸腔(きょうくう)ドレナージ」と呼ぶ治療が選択肢となる。胸部にチューブをさして肺と胸壁の間にたまった空気を抜き、数日かけて肺を元の大きさに戻す。入院治療が基本だが、小型の器具を使い通院で治療することも可能になっている。

■膜を貼って補強

根治を目指すなら手術だ。内視鏡の一種である胸腔鏡を使い、胸に小さな穴を複数開けて手術をする。破れたブラを切り取って肺を縫い縮めるが、それだけでは縫った周辺の組織に力がかかり新しいブラができて気胸が再発する恐れがある。

このため「カバーリング」という手法が普及してきた。ブラを切り取った部分に網目状の膜を貼る。この膜は体内で自然に溶けてコラーゲンに置き換わり、肺を補強して再発を防ぐ仕組みだ。

医師は患者の状態や年齢などをもとに、いずれかの治療法を選ぶ。たとえば、20代で2回発症した人は9割近い確率で3回目の気胸を起こす。手術をすれば、確率を1割以下にとどめることができる。

高齢者では一般的に手術が難しく、胸腔ドレナージで対処する例が多かった。近年は破れた場所を特殊なのりで固めたり、肺全体をフィルムで覆って再発を防いだりする方法も登場している。栗原センター長は「患者と医師がよく相談して治療の進め方を決めることが大切だ」と話している。

(出村政彬)

[日本経済新聞夕刊2014年10月3日付]

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