趣味を生かして小遣い稼ぎ 課金サイトで個人売買
「自分の絵を売る夢がかなったんです」
横浜市在住の会社員(24)は目を輝かせながら話す。趣味で描いた少女や動物のイラストを「note」というウェブサイトを利用して1セット300円で販売。これまでに1万5000円ほど売れたという。
noteはブログサービスで、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)機能に加え、レシピや小説など様々なコンテンツを投稿者が自ら値付けして販売できる。約3万人が有料販売している。
子どもの頃から絵を描くことが好きという会社員は、しおりに絵を描き家族や友人にプレゼントしたこともある。評判は良かったがそれだけでは飽きたらず、「知らない人でも作品を認めてくれるだろうか」と思い、試しに始めたのがきっかけだった。
「評価されうれしい」
販売職の仕事の休憩時間や通勤時間を使って絵を描く。売れそうな絵が描けたときには、スマートフォン(スマホ)のカメラを使って撮影。noteにある自分専用のページに値段を付けて公開、販売する。
先月、紙のノート60ページ分にイラストを描いて送るというサービスを販売した。価格は1万円と高額だが、1人が買ってくれた。
「かわいい!」「オシャレですね」。noteには閲覧者がコメントを書き込んでくる。固定ファンもついた。「自分の作品を評価してくれてうれしい」と満足げだ。
旅先で撮った風景写真も立派な「商品」になる。「ピクスタ」は写真を1枚から販売できるサイトだ。現在約14万人が投稿しており、そのうち9割以上がアマチュアカメラマンだという。最近は定年退職した高齢者の参加が目立ち、今年1~8月の登録者数は前年同期比で1.3倍になったという。
投稿するにはまず会員登録し、入門講座とテストを受ける必要がある。売り上げの22~58%が投稿者の取り分で、投稿者の販売実績によって異なる。1人当たり月3000~5000円の売り上げが中心だが、100万円前後を稼ぎ出すカメラマンは「何人もいる」(ピクスタ)。
特に売れるのは人物写真。アマチュア投稿者でもスタジオを借りて、プロのモデルを撮影するケースもある。ピクスタではモデル仲介もしており便利だ。
写真を購入するのはウェブサイトやパンフレットに掲載する写真を探す一般企業や、ニュースなどを扱うネットメディア、ブログを運営する個人と幅広い。アマ・プロ混在の土俵で販売するため「腕試しにもなる」(ピクスタ)という。
業界知識が収入に
「鉄鋼について詳しい人に話を聞きたい」「急に経理部に異動になった。会計について教えてほしい」
「visasQ(ビザスク)」は様々な業界の経験者からアドバイスや意見を聞けるサービスだ。
専門知識を持つ人は「アドバイザー」として話せる業務経験や経歴をまとめたプロフィルをサイト上に登録する。それを基に、相談したい人が依頼する仕組み。相談形態は30分単位でメールか電話、対面のいずれかで行う。
報酬は1件3000円から5万円。「副業規定に抵触するかもしれない」と心配する声に配慮して、アドバイザーが受け取った報酬を慈善団体に寄付する手段も用意している。個人技能の販売はひと稼ぎになるだけでなく、世の中にも役立つかもしれない。
(電子整理部 鈴木洋介)
[日本経済新聞夕刊2014年10月2日付]
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