河合隼雄の幸福論 河合隼雄著人生を考察 たどり着いた境地

2014/10/3
(PHP研究所・1200円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

2007年に他界した心理学者・河合隼雄が新聞に連載し、『しあわせ眼鏡』として刊行されていた本が新書判で復活。

 この本を読むまで知らなかったが、著者は高校で数学を教えていたことがあるという。

「何でも論理的、合理的に考えるのが好きで、この場合も、自分の楽しさをそれに費やした金額で割り算をして、その数値が高いほど効率的に幸福を得たことになると考えたわけである」

 大枚叩(はた)いてクラシックコンサートに行った帰り、きつねうどんを食べながら、幸福の「効率」について計算していた、という話だ。私もよく同じように(本来は計算できないものを)計算してしまうので、思わず笑ってしまった。

「『なぜ、私だけが不幸なのか』という問いは、個性発見への切り口を提供している。(中略)神から与えられた不平等と、人間の平等への努力がぶち当たって、散った火花のなかに、その人だけと言える個性が輝くのではないだろうか」

 長年、大勢の心の悩みに真摯に耳を傾け、人生を深く考え抜いた著者が到達した、一つの境地かもしれない。幸福を探している全ての人にオススメしたい。

★★★★★

(サイエンス作家 竹内薫)

[日本経済新聞夕刊2014年10月1日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

河合隼雄の「幸福論」

著者:河合 隼雄
出版:PHP研究所
価格:1,296円(税込み)

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