ヘルスUP

病気・医療

虫歯治療、顕微鏡できめ細かく 勘頼みから脱却

2014/9/19 日本経済新聞 夕刊

 利点が多い歯科用顕微鏡だが、一般的に広く行われるまでには至っていない。治療に時間がかかるうえ、歯科医が簡単にノウハウを習得できないことなどが理由だ。

 顕微鏡を使わない普通の治療では10分から15分程度で終わる場合でも、顕微鏡治療は1時間~1時間半かかる。顕微鏡を通した像は肉眼と反転するため、歯科医が慣れるまでに1年以上必要という。

■保険診療の10倍

 今年4月からは顕微鏡を使った一部の治療に保険が適用されるようになった。しかしデンタルみつはしや山口歯科クリニックは、価格を医師が自由に決める自由診療のみを手掛けている。手間がかかる分、通常の保険診療の価格では赤字になってしまうためだ。「保険診療の10倍程度」(三橋院長)の費用がかかる。

 ただ歯の健康は日常生活に深くかかわるだけに、小黒さんは「食べられなくなることを考えると費用の問題ではない」。山口歯科クリニックでも7年前、保険診療から自由診療に切り替えた際に治療費が高くなることを説明したが、当時200人いた患者のうち198人はそのまま治療を行うことを望んだという。

◇            ◇

■導入、わずか3% ノウハウ習得が壁

 日本で顕微鏡を用いた歯科治療が始まったのは1994年。東京歯科大学前主任教授で、ホワイト歯科グループ熊本(熊本市)の中川寛一統括院長が、米国で始まったばかりの顕微鏡手術に興味を持ち、講習会を受講した。「手探りで行っていた歯の内部の治療を見ながらできる。これまで治せなかった虫歯を治せると興奮した」と中川統括院長は振り返る。

 帰国後、当時の教授に顕微鏡のメリットを訴えて導入した。しかし当時は歯科用の顕微鏡がなく、脳神経外科用の顕微鏡を“代用”して診療したという。その後、米国から顕微鏡治療に詳しい歯科医を招いたり、他の歯科医と米国に研修に出かけるなどして普及をはかった。現在では国家試験でも顕微鏡を用いた治療が取り上げられている。

 しかしデンタルみつはしの三橋院長によると、実際に顕微鏡を導入した歯科の医療機関は3%程度。使いこなせずに、形だけ使っているような医療機関もあるという。

 三橋院長は「顕微鏡歯科ネットワークジャパン」を立ち上げ、正しく顕微鏡を行っている医療機関をリスト化したり、普及活動を行ったりしている。また中川統括院長も米国の教育プログラムを活用し、日本で顕微鏡を活用する医師の育成を進めている。

(山崎大作)

[日本経済新聞夕刊2014年9月18日付]

ヘルスUP新着記事

ALL CHANNEL