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虫歯治療、顕微鏡できめ細かく 勘頼みから脱却

2014/9/19 日本経済新聞 夕刊

 口の中を拡大して診察できる歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)の登場で、歯科治療が変わりつつある。時には手探りでの治療を余儀なくされることもある歯科治療だが、顕微鏡を使うことで歯の奥なども目視することができるのが特徴だ。虫歯を見逃してしまったり、削りすぎたりというミスを避けることができるという。

 大きく開いた患者の口の中に向け、照明付きの小型カメラを設置する。学校の理科室にあるような顕微鏡に両眼をあてながら、歯科医がせわしなく治療器具を動かす。その横には口の中が大きく映し出されたモニターが置かれ、スタッフが画面を見ながら治療をサポートする。

■勘頼みから脱却

電子顕微鏡を使い歯の治療を行う「デンタルみつはし」(東京都世田谷区)

 デンタルみつはし(東京・世田谷)の三橋純院長は十数年前から歯科用電子顕微鏡を治療に使っている。最大20倍に拡大でき、奥歯の裏の状態もくっきりと確認できる。

 神経を侵された虫歯の治療では、「根管治療」と呼ばれる歯の中の神経を取り除く手術が一般的だ。しかし口の中を目視しても歯に開いた穴の奥までは目視できない。これまではX線写真をもとに、勘頼みだった。神経がすべて抜けていないまま詰め物をしたり、歯の中を削る機器が中で折れてしまうような事故もあった。

 同歯科医院に通う小黒恵子さん(55)は2年ほど前、別の歯科医院で虫歯治療をしたが、かぶせものが正確に装着されておらず、食べ物がかめなくなった。頭痛や肩こりがひどくなるなど日常生活にも支障が出るようになり、デンタルみつはしで再治療を受けた。三橋院長は「最初の治療から顕微鏡を用いていれば、歯を無駄に痛めることはなかった」と話す。

 山口歯科クリニック(東京・渋谷)ではすべての診察や治療に顕微鏡を使う。それに伴い、治療に用いるドリルの直径は0.5ミリの特注品を利用。通常の半分程度だ。細い方が削りすぎを防ぐためには有効だが、細かい作業になる分肉眼だけでは難しい。「特注のドリルも顕微鏡があってこそ。もはや顕微鏡なしには診療できない」(山口義徳院長)。

 治療の質を高める以外のメリットもある。映像は録画できるため、虫歯の状況がどんなだったかや、どのような治療を行ったのかなどを、実際に患者に見せることができる。デンタルみつはしで治療を受けた小黒さんは「きちんと説明してもらえるので安心感がある」と話す。

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