空き部屋・空き時間・空き施設…ネットで売ります
「銭湯でロケ撮影」「お化け屋敷で街コン」。スペースマーケット(東京・渋谷)のウェブサイトには、ユニークな活用例が並ぶ。スペースマーケットは、空いている施設の貸し借りをウェブ上でマッチングさせるサービスを提供している。貸し手は保有する遊休施設を同社のウェブサイトに無料で登録。借り手はその中から使用目的や条件にあった施設を探せる。
スペースマーケットに登録されている施設は現在約200カ所。お寺から結婚式場、果ては米国の野球場まである。施設は1時間単位で貸し借りができ、法人でも個人でも利用できる。例えば結婚式場の青山迎賓館は一時間5万円から利用できる。
これまでに、監査法人が平日の結婚式場を借りて納会を行ったり、野菜宅配会社が都内のお寺で記念パーティーを行ったりしたという。「会社説明会などをインパクトのあるものにしたいというニーズや、普段と違った環境で会議を行いたいという利用が多い」(スペースマーケット社長の重松大輔氏)
宿泊予約から広がる
空いている施設や場所の貸し借りマッチングの火付け役は、米Airbnb(エアビーアンドビー)だ。同社は世界中の個人の空き部屋や住宅をインターネットで旅行者に紹介している。旅行者は部屋を提供するオーナーと直接やりとりし、宿泊先を決められる。ホテルのようなサービスは受けられないが、割安な料金や、現地の人と交流できる点などが人気を集めている。
スペースマーケットやAirbnbが空き「場所」ならば、レレレ(東京・渋谷)の「タイムチケット」は空き時間の有効活用だ。
「タイムチケット」は個人の空き時間を30分単位で、最大5時間まで売ることができるサービス。自分の空き時間を売りたい人は「ホスト」と呼ばれ、まず売りたい時間と料金、何をするかや売り上げの寄付先をチケットとして登録。その内容に興味を持った利用者が購入申し込みをして、ホストが承認すれば取引成立だ。
ホストの売り上げの30%は手数料としてレレレに支払われ、残りの売り上げの一部はホストが決めた寄付先に送られる。残ったお金がホストの収益となる仕組みだ。例えば、「相談に乗ります。1時間1000円、50%寄付」というようなチケットの場合、300円がレレレに支払われ、差し引き700円のうち350円がホスト指定の寄付先に、残る350円がホストの手元に残る。
チケットは「音楽をお薦めします」「アプリを開発します」など様々。7月のサービス開始以来、約4000枚のチケットが売買されている。
自前の設備持たず
ラクスル(東京・港)は名刺やチラシなどの印刷通販を手掛ける。納期の短さや格安な料金が特徴だ。だがラクスルは自前の印刷設備を持たない。活用するのは、提携している印刷会社の「空き設備」だ。
仕組みはこうだ。ラクスルがサイト上で顧客から印刷を受注。種類や納期に応じて各印刷工場に仕事を割り振る。稼働していない印刷機を使うので、印刷物を安く刷ることができるのに加え、印刷会社の収益アップにもつながるという。
(経済部 谷翔太朗)
[日本経済新聞夕刊2014年9月18日付]
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