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メジカの新子、高知の人気者 強い弾力、旬は9月まで

2014/9/17 日本経済新聞 夕刊

隣接する須崎市では食べ方が少し違う。中土佐は赤身の部分だけを食べるが、須崎では血合いを少し残し、皮はつけたままだ。須崎魚商協同組合の中川幸夫さん(68)は「皮がある方が魚本来の味ともちもち感がより出てくる」と強調する。食べてみたいと話すと、須崎市で毎年9月初旬に開く「新子まつり」の試食会に招待された。

須崎市では皮と血合いの一部を残したまま提供される

「天候が回復し、メジカの新子が須崎沖に戻りつつある。祭りは開催できそうだ」。新子まつり実行委員会の委員長、竹内健造さん(52)は胸をなで下ろしていた。試食会が開催された9月2日、市場には1000匹以上が揚がり、この日用意された150人分が1時間ほどでなくなった。

食べると皮がついているためか、食感が中土佐流より強い印象。血合いも残っているため、味もやや濃厚だ。ブシュカンの酸味と濃い口しょうゆで癖になる味。これだけの魚がなぜ広まらなかったのか。

最大の理由は鮮度が落ちるのが早いことだ。釣り上げた魚を食べて夢中になり、晩酌用のつまみとして持ち帰って食あたりする漁師が少なくなかったという。このため、市場などには流通させず、自分たちだけで食べていたようだ。

中土佐と須崎でも広く食べられるようになったのは鮮度管理の技術が高まった15~20年ほど前からだ。それでも、鮮度管理が大変というイメージは強い。独特の食感の維持も難しく、高知市内の鮮魚店や飲食店に並ぶことはなかった。

須崎と中土佐の食べ方はどちらがおいしいか。両自治体のトップに聞いてみた。中土佐町の町長、池田洋光さん(59)は「余計な物を取っておいしい部分だけを食べている」と話す。須崎市の市長、楠瀬耕作さん(54)は「魚は皮と身の間の脂にこそうまみがある」と譲らない。どちらがうまいか、現地に赴いて食べ比べてほしい。

<マメ知識>傷み早く、半日以内に
メジカの新子は傷みが早いといわれる。漁師たちの間では「朝釣り上げたら昼に食え。夕方釣ったのを晩に食べろ」という格言があるほどだ。高知工科大学などが研究成果を残している。生鮮魚介類の鮮度の実験をしたところ、劣化の速度はゴマサバの2倍以上だったという。
同研究チームは地域振興の一環として地元以外にも出荷できる手法を開発中。微小な氷粒子と塩水が混じり合ったシャーベット状の氷「スラリーアイス」を使って鮮度を保ち、高知市内への出荷を始めている。

(高知支局長 古宇田光敏)

[日本経済新聞夕刊2014年9月16日付]

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