みんなで10分、気軽に体操 職場や地域で習慣に

夏バテした体を運動で鍛え直そうと、意気込む人も多いかもしれない。突然の激しい運動は体への負担も大きいが、「いつもよりちょっと多めに体を動かす」程度なら安心して楽に続けられ、健康維持に役立つ。一人ではなく職場や地域の仲間と声を掛け合ってできれば運動の輪が広がり、自然に習慣づけられてなお効果的だ。
慶大のイベントでは「プラス・テン体操」を楽しんだ

8月5日、真夏日にもかかわらず神奈川県藤沢市の慶応義塾大学の会議室に高齢者ら約30人が集まった。Tシャツやジャージーのラフな姿で、運動の効果に関する座学と実践を組み合わせたユニークな催しに参加した。慶大が同市保健医療センターなどと開いた。

■週1~2回やろう

「体を動かさないと寿命が縮まる」「毎年そのために、喫煙によるのとほぼ同数の人が命を落としている」。慶大大学院健康マネジメント研究科の小熊祐子准教授が説明すると、会場は静まりかえった。同准教授によると、体を動かすことは2型糖尿病、高血圧、大腸がんの減少や、うつの改善などに役立つというデータが各国で集まっている。

運動が大切だと頭では理解できても、ハードルを上げすぎてはなかなか実践できない。必要なのは激しいトレーニングではなく、「仕事、余暇、家事の際に姿勢をよくし、大きな筋肉を動かすなどちょっと意識するだけでもいい」と小熊准教授は話す。どこでも気軽にできる簡単な体操を覚えておけば、なお便利だ。

同市保健医療センターの健康運動指導士を務める斎藤義信・慶大研究員らは、そんなニーズにぴったりの体操を考案した。ストレッチ、有酸素運動、筋肉トレーニング、バランス運動を組み合わせて10分程度でできる。ナレーション入りの音楽付きだ。普段よりも10分多く運動を、という意味を込めて「プラス・テン体操」と名付けた。

いすにつかまってかかとを上げる、両腕を頭上に上げて体を傾ける、軽く膝を曲げスクワットをする、などを10~20回ずつ繰り返すと汗ばんでくる。最後はゴムのようなバンドを手や足に引っかけ、伸ばしたり縮めたりする筋肉運動だ。途中で疲れて座り込んだりやめたりする人はゼロ。参加者からは笑顔もこぼれた。

もちろん、1回やっただけでは健康への効果は望めない。週に1~2回ずつ、2~3カ月は続けることが大切だ。一緒に体を動かす仲間を見つけられれば続けやすい。「地域の会合や職場の会議の前に10分間、体を動かそうと心がけてみて」と斎藤研究員は勧める。イベントを繰り返し、参加者に健康状態を聞くアンケートや体力測定などにより効果の科学的データも蓄積したいという。