米国でも減量と運動量の関係を調べた研究がある。ピッツバーグ大学のジャキシック博士らの取り組みだ。肥満者約200人に共通した食事改善指導を実施し減量した後、運動量に着目して1年間追跡した。運動量(1週間に1000キロカロリーまたは2000キロカロリー)と、運動強度(中強度または高強度)の組み合わせで4グループに分けて比べた。

研究では運動を週5回勧めており、1回当たりの運動量は200キロカロリーか400キロカロリーとなる。運動量は運動の強度と体重、実施時間の積から求められる。例えば、体重が80キログラムの人が400キロカロリーを消費するのに必要な運動時間は、ウオーキングなら1時間15分続ける必要がある。

運動強度は心臓や肺にどの程度負荷がかかるかで分類する。中強度は少しきついと感じる運動で、呼吸が速くなるが息切れしない程度が目安。高強度はきつい運動で、呼吸が激しく荒くなる。

1年後の体重減少量は、高強度で運動量が中程度のグループの2.9キログラムから高強度で高運動量グループの5.8キログラムまで差があったが、統計学的な有意差はなかった。研究に参加した人が、指示した運動を実施しなかった可能性があったと研究チームは推測。そこで、実際に実践した運動量で比べると、運動量が週1000キロカロリー未満のグループでリバウンドが大きく、週2000キロカロリー以上のグループでリバウンドが小さかった。

■専門家が助言

ここから導き出せるのは、運動量を増やすことが体重のリバウンドを防ぐために有効である可能性が高いこと。しかし、ジムなどに通って専門家から直接、運動指導を受け続ける時間的な余裕がある人も少ないだろう。お金もそれなりにかかる。

そこで中田准教授らは今月17日から、インターネットを利用して減量後のリバウンドを防ぐ体重維持プログラムの効果を検証する研究を始める。対象は40~64歳で、身長と体重から算出する体格指数(BMI)が25以上40未満の肥満の人だ。茨城県内の2市で計150人の参加者を募り、2年にわたって追跡調査する。参加者はまず、減量教室で3カ月間減量。初期の体重から5%以上減量できた人を体重維持プログラムによる支援を受けるグループとそうでないグループに分ける。

体重維持プログラムの支援を受けるグループは、日々の体重と歩数や活動量などを自宅のパソコンから送信。専門家が定期的に個々のデータを見て、運動量などについて指導する。この取り組みで減量効果を維持できるのがわかれば、リバウンドに悩む人の福音になるかもしれない。

(編集委員 西山彰彦)

ひとくちガイド
《インターネット》
◆減量後の体重維持に関するインターネット支援について知るなら
 筑波大学の講座のページ(http://www.tsukuba-genryo.com/index.html
《本》
◆メタボリック症候群の予防と改善に向けた運動を紹介
 「エクササイズ科学」(田中喜代次、田畑泉編集、文光堂)

[日本経済新聞朝刊2014年8月10日付]

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