食欲不振・もたれ… 胃の不調、甘く見ないで

このところの厳しい暑さもあって、「食欲がわかない」「食後に胃がもたれる」など、胃の調子が悪いと自覚する人は少なくないだろう。こうした症状は、放っておくと慢性化してしまうこともある。これらの不調の様々な原因や治療法、生活習慣の見直しも含めた対応策を専門家に聞いた。

「夏になると、食欲不振や胃もたれ、胃の痛みなどを訴える人が増える。これは、高温多湿の環境により自律神経が乱れて起こると考えられる」。国立国際医療研究センター国府台病院(千葉県市川市)院長の上村直実さんはこう説明する。

こうした、ちょっとした不調は軽く考えて放置しがち。だが、そのままにしておくと、いわゆる「慢性胃炎」になって常態化することもあるので注意が必要だ。

胃の働きが悪くなる主な原因としては「胃粘膜が傷つく」「胃自体の動きが悪い」「胃の知覚過敏」「胃酸の分泌が多い」の4つがある。

胃の粘膜が傷つく様々な要因の中で、最も多いのがヘリコバクター・ピロリ菌の感染だ。内視鏡で見ると、ピロリ菌に感染した粘膜には、萎縮や鳥肌様といった特有の状態が見られる。

■ピロリなら除菌

日本人は、欧米人に比べてピロリ菌の感染率が高い。「ピロリ菌に感染すると、胃粘膜が炎症を起こして老化が進み、胃潰瘍や胃がんのリスクも高まる」と上村さん。

ピロリ菌を取り除くには、医療機関で抗菌剤などによる除菌をすればよい。「除菌すると、しないときに比べて胃がんの発症率が3分の1に抑えられるという報告もある」(上村さん)

一方、胃の動きが悪くなったり、胃の粘膜が知覚過敏を起こしたりしている場合には、内視鏡で見ても特に異常が見られないことがある。このように胃の「機能」に問題がある胃炎を、機能性ディスペプシア(以下、FD)と呼ぶ。従来、神経性胃炎やストレス性胃炎、胃下垂などといわれていたものだ。

今年の4月には、日本消化器病学会が、診療の手順などを示した「機能性消化管疾患診療ガイドライン2014・機能性ディスペプシア」をつくり、診断や治療のやりかたなどを整理した。

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