スマホのルール、子ども自身で 健康・友情を重視

「自分の部屋に持ち込まない」「お金がかかるゲームはやらない」――。子どもに携帯電話やスマートフォン(スマホ)を与える際、こんな使い方のルールを設定する家庭は多いだろう。でも、それを破ってしまうのも子どもの性分だ。そこで、子ども自身がルールを作る試みが学校現場から出てきた。自分たちで作るからこそ守れる、という考え方が背景にある。
「江南ルール」について学級委員会で説明する江南中学校の3年生たち(熊本市)

熊本市立江南中学校で6月下旬、放課後に全学年の学級委員が集まった会合が開かれた。委員長が「江南ルールを学校のルールとしてクラスに伝えていきましょう」と呼びかけると、20人ほどから「ハイ」と元気な声が返って来た。

全生徒で共有

「江南ルール」とは、同中3年生が2年生だった今年3月に作った、スマホやネット機器の使用に関する自主ルールだ。「健康を守ろう」「友情を守ろう」「プライバシーを守ろう」の3つの分野に分け、「10時以降は情報通信をしない」「悪意のある(チャットの)グループを作らない・入らない」など8項目にわたる。

きっかけは昨年11月、無料通話アプリ「LINE」で、グループに参加していない生徒の悪口をある2年生が書き込んでいたこと。学年主任の高木雅子教諭は夏休み明けから生徒たちの様子がおかしいことに気づいていた。居眠りする子や、頭痛で保健室を訪ねる子が増加。LINEでの夜更かしが原因と推察された。

「個別に指導をしても問題は繰り返され、モグラたたきの追いかけっこになる」と判断。そこで年明け、2年生の学級委員らの集まりで、「自分たちで学年のルールを作ったら」と促してみた。当初反応は芳しくなかったが、各クラスでどんなルールがいいか話し合いをするうちに、熱を帯びていった。実際にトラブルに遭い、必要性を痛感していた生徒もいたのだ。

碇朋子さん(14)は別の中学に行った小学校の同級生からLINEに「うざい」などと書き込まれた。反論すると「あなたのことじゃない」と言われたが信用できず、結局すべての友達を消去、LINEは一切しなくなった。「ルールがあれば安心できるのでうれしかった」と議論に参加した。

中3になり、作成の中心メンバーが学級委員会を通じ、自分たち向けだったルールを1、2年生も含めた全生徒で共有するよう働きかけ、この7月に決定した。生徒へのアンケート調査によれば、夜遅くに連絡してきたり、中傷的な書き込みをされたりといった迷惑行為は約7割がルール策定で改善されたと回答し、一定の効果があることが確認された。

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