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すり足は全身鍛える 「和」の動きで体づくり

2014/7/31 日本経済新聞 プラスワン

 日本舞踊や能、相撲など我が国の伝統文化の動きを全身運動としてとらえ健康法に取り入れる動きが広がり始めている。健康維持や体力増強につなげていくだけでなく、美しい立ち姿や所作を身につけることもできるのが特徴。それぞれの専門家に、実践する上でのポイントなどを聞いた。

 能の流派の一つ、能楽シテ方金春流(東京都千代田区)には、一般の人向けの稽古(けいこ)に上は90歳以上、下は子どもまでが通う。伝統芸能としての能に触れるだけでなく、体力づくりも目的のひとつ。

 能は「20キロ近い装束と、視界のほとんどを奪う面をつけて謡ったり舞ったりする」と、先生を務める能楽師の櫻間右陣さん。稽古では「それに耐えうる強靱(きょうじん)な体力」も養うことができる。

■両足に体重かけ

 まずそこで教わるのは基本動作の一つ、両足均等に体重をかけてまっすぐ立つ「かまえ」だ。これが意外に難しい。片方の足に重心がかかってしまうと、股関節やひざ関節の負担になり痛くなる。

 次に「すり足」。実際に櫻間さんに歩いてもらった。舞台で悠々と滑るように歩む姿が美しい。ひざを軽く曲げて頭は決して上下しない。「出て行く足に体が乗っかるように全体的に動く。腰は安定させて、足裏を見せないようにじっくりと歩くので外側の筋肉より内側の深層筋を使っています」。想像以上に「すり足」は体力のいる運動になる。

 かつては京都の芸妓(げいぎ)として知られ、現在NPO法人日本文化芸術国際振興協議会(京都市)で理事長を務める岩崎究香(みねこ)さんは日本舞踊を取り入れた健康法として、座ったり立ったりの動きを紹介する。自身、4歳のころから50年以上続けている稽古の結果、股関節、膝関節、足首の関節がどれも柔らかいまま。正座の状態から、ゆっくり片膝を立て、すっと立ち上がる動作は、足裏のストレッチになり、体力もつく。

 日舞では、「すり足」で歩きながら、上半身は扇子で森羅万象を表現する。この腕を上げる動きも、肩の関節の筋肉が衰えるのを防ぐ健康法になるという。また、歩く際に自然にできる深い息の出し入れのおかげで「心身の濁ったものが澄み、新陳代謝が良くなっていく」そうだ。さらに「見られている」という意識をもつことで、動きが「優雅なものに洗練されていく」。

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