バレエ・リュス展衣装に見る 踊る芸術

2014/7/29

1909年、ベル・エポックのパリにデビューしたロシア・バレエ団「バレエ・リュス」。町を熱狂させた20年の活動とその後の展開を衣装などでたどる「魅惑のコスチューム バレエ・リュス展」が東京・六本木の国立新美術館で9月1日まで開かれている。

20年で発表した新作バレエは60本超。ロシア人の主宰者セルゲイ・ディアギレフは画家ピカソ、作曲家ドビュッシー、デザイナーのシャネルら異才を起用してバレエのイメージを一新し、欧州のアバンギャルドに躍り出る。

エキゾチックな異国趣味はバレエ・リュスの魅力のひとつで、東洋などへのあこがれが衣装にもよく表れている。

たとえば12年初演の「青神」や「タマール」。インドの神話世界が題材の「青神」の衣装や美術はカンボジアやタイの舞踊団の欧州公演がヒントになった。上のイラストに描かれた青神の衣装は実物も展示中。胸部分のハスのつぼみや金の光線の刺しゅうは、ヒンドゥー彫刻ともかかわりがあるらしい。

「タマール」は一夜を共にした青年を次々殺してしまうというグルジア女王の物語。フランス・ファッションの技が結集した華麗な衣装は、異質な音楽の旋律やダンスとあいまって官能的なドラマを大いに引き立てたことだろう。

中国風のシンプルな上衣(うわぎ)をデザインしたマティスは構想を練るためにパリのギメ美術館に通い詰めた。「余白」に東洋の美を感じ取ったようで、中国趣味の吸収の仕方がいかにもモダンで洗練されている。

オーストラリア国立美術館が所蔵するバレエ・リュスの一大コレクションからの出品。舞踊と当時の前衛芸術が融合する新たな“都市型エンターテインメント”の華やかな雰囲気を伝えている。

(編集委員 窪田直子)