検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

愛情・信頼ホルモン「オキシトシン」の多彩な働き

スキンシップで促進、心身に安らぎ

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

 親子間で愛情を深め仲間と信頼感を育むとき、人の脳の中では「オキシトシン」と呼ぶホルモンがたくさん作られている。以前は分からなかった多彩な機能がこのところ相次いで見つかり、心身に安らぎをもたらす体内物質と注目を集める。オキシトシンを作り出す習慣をうまく身に付ければ、健康な日々を送れるようになるかもしれない。

「同じ釜の飯といえば、きずなを強める代表的な例でしょう。一緒にご飯を食べているとオキシトシンの量が増えるんですよ」。ホルモンとストレスの関係を調べている自治医科大学の尾仲達史教授はオキシトシンがもたらす効果を分かりやすく解説する。

ストレスを抑える

最近の研究から、親子や友人、同僚などが一緒に食事をする際、良好な関係にあるほど体内でオキシトシンの量が増える傾向が分かった。不安な時に出るストレスホルモン「コルチゾール」の発生を抑え、信頼感を育んでいるという記憶を強める効果があるようだ。

約60年前に物質が判明したオキシトシンは当初、哺乳動物が出産時に子宮を収縮させる働きと授乳時に乳を出すように促す働きしか分かっていなかった。ところが1990年代半ば、ネズミにオキシトシンを注射する米国での実験でつがいのきずなが強まる行動が確認されて以降、見方ががらりと変わった。脳の中でどんな作用をしているのかを探る研究に火が付き、人間でも同じ効果があるのではないかと考えられるようになった。

授乳時のオキシトシンは単に乳腺を収縮させて乳を出しやすくするだけでなく、母と子の脳内で相互のつながりを記憶にとどめる役割を持つことが確かめられた。スウェーデンで誕生した、肌に優しく触れる「タクティール・マッサージ」は、オキシトシンを促して神経を静める効果がある。慢性の痛みに悩む患者を抱える大学病院などで看護に役立てられている。

安心したからオキシトシンが作られるのか、オキシトシンが作られて安心感が高まるのか、原因と結果の関係がまだ十分に解明できていない面はある。しかし「オキシトシンを促す行動や活動を意識すれば、日々健やかに過ごせる可能性が高まるのではないか」と尾仲教授は指摘する。

 オキシトシン 脳の「視床下部」という場所にある細胞が作り出すホルモン。出産時に子宮を収縮させる作用がある。1906年に発見されたが、物質の特定までには至らなかった。50年代前半、米国の生化学者ヴィニョーが9個のアミノ酸で作られていることを突き止め、人工合成にも成功。この業績によりノーベル化学賞を受賞した。
 生殖と成長に深くかかわるホルモンとして注目され、脳の中での機能を探る研究が活発になっている。粉末を溶かしたスプレーは海外で市販され、ストレスを軽減して安らぎを感じさせる作用などが確かめられている。

親密な関係であれば、やはり肌と肌の触れ合いが最も代表的な方法だ。父親も子供とじかに触れ合えば互いにオキシトシンが作られ、つながりを深められるという。逆に親に虐待を受けた子供は一般に、オキシトシンを作る量が少ないことが知られている。

自閉症治療も研究

これに似ているのがペットとの触れ合いだ。ペットの種類や面倒をどの程度まで見るかによって違いはあるが、生き物と接する触覚はオキシトシンを作り出す刺激になる。

気分が高揚する程度のランニングを超えた激しい運動でオキシトシンが作られる。強いストレスから心身を守るために出ている可能性もあり、この場合のオキシトシンの役割は不明な点が多い。

バラやかんきつ系の香りをかいだ時にオキシトシンが作られるという研究や、湯船につかった時に出るという報告もある。因果関係や作用の仕組みなどに検証すべき点が多く、科学的に広く認められていないが、何かつながりがありそうだとみられている。

一方、医学研究として、オキシトシンを自閉症治療に生かす試みが出てきた。東京大学や金沢大学などのグループが、点鼻スプレーによる投与で、人とうまく意思疎通ができなかった人たちの症状を改善できないか研究している。

発作的に大暴れする男子生徒は投与後、自制できるようになった。かんしゃくを起こしやすかった女子生徒の場合、情緒が安定し自傷行為が減った。こうした事例を見てきた金沢大の東田陽博特任教授は「オキシトシンはさび付いた歯車を回るようにする潤滑油のようだ」と例える。

継続的な調査によって、長期利用の安全性や適切な投与量などの課題にもメドはつきそう。近い将来、実用化できる見通しが開けてきた。

(編集委員 永田好生)

ひとくちガイド
《本》
◆生体内での機能や効果などを分かりやすく解説
 「オキシトシン」(シャスティン・ウヴネース・モベリ著、瀬尾智子、谷垣暁美訳、晶文社)
《インターネット》
◆子供の自閉症の改善に向けた研究状況を紹介
 金沢大学「オキシトシンの広場」(http://kodomokokoro.w3.kanazawa-u.ac.jp/menu_01/05.html

[日本経済新聞朝刊2014年7月13日付]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

関連キーワード

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_