更年期障害・甲状腺疾患 多様な症状、見分け肝心働く女性の病気(中)

治療法の一つが減った女性ホルモンを補うホルモン補充療法だ。1カ月で症状が改善する人もいる。この治療に関する米国の研究から、乳がんのリスク上昇を心配する人もいるが、東舘准講師は「医師が適切に管理し、定期的な検診を受ければ大きな問題にはならない」と話す。

更年期の症状は「家族や職場の人間関係などのストレスが重なり起こる人も多い」(東舘准講師)。つらいと感じたら早めに婦人科などを受診しよう。牧田産婦人科(埼玉県新座市)の牧田和也院長は「更年期障害か別の病気かを判断する窓口にもなる」と勧める。

別の病気の一例が、甲状腺疾患だ。ホルモンの異常が関係し、更年期に出る症状と似ている部分も多い。見分けがつきにくいため的確な治療を始めるのが遅れる人もいる。甲状腺は喉にある器官でホルモンを分泌して全身の新陳代謝を活発にする。しかし「ホルモンが多すぎるとバセドウ病に、少なすぎると橋本病になる」と金地病院(東京・北)の山田恵美子院長は話す。

■治療法は確立

バセドウ病は甲状腺にできる自己抗体を常に刺激し、ホルモンが大量に分泌される。発症は20~40代が中心だ。いつも運動しているような状態になり、心臓にも負担がかかる。治療ではホルモンの合成・生産を抑える薬を服用する。手術や放射性ヨウ素内用療法を実施する場合もある。

40~60代に多い橋本病は自己抗体が甲状腺を破壊し、ホルモンの量を減らす。疲れやすい、元気がなくなるなど「更年期障害やうつ病と症状が似ているが、汗が出ないのが特徴だ」(山田院長)。治療では甲状腺ホルモンを補う。

いずれも命に関わる病気ではなく、治療法も確立している。診断は血液検査が基本で、自己チェックシートもある。山田院長は「専門家のもとで適切に治療すれば治りやすい。発症しても安易に仕事を辞めないでほしい」と訴える。

「女性の健康検定」の受験会場には男性受験者も(東京都文京区)

女性の健康とメノポーズ協会は、働きやすい職場づくりを進める「女性の健康推進員」という資格を設け、2012年から「女性の健康検定」を始めた。知識を増やす目的で女性が活用するケースのほか、管理部門の男性が受ける場合もあるという。

ホルモン分泌の変化の影響を受けやすい女性の体は、生活習慣病など男女に共通する病気とは区別し、正しい知識を持ってケアをすることが大切だ。

[日本経済新聞夕刊2014年7月11日付]