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軟らか鉛筆・浮く水着…「非力っ子」向け新市場

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NIKKEI STYLE

都市部を中心に遊び場が減り、子どもの体力が低下している。2020年の東京五輪へ向けゆゆしき問題でもあるが、そこはおもてなしニッポン。体力低下を切り口とした、書きやすい筆記具や押しやすい形状の液体ハンドソープ、スポーツ用品・サービスが相次いで登場している。非力っ子が創る「過保護」マーケットの最前線を追った。

80年代ピークに子どもの体力低下

 文部科学省の調査によると、子供の体力は1985年ごろをピークとして低下してきた。03年ごろからは文部科学省が始めた子供の体力向上推進事業の効果もあり全体としては回復基調にあるが、まだ80年代の体力までには戻っていない。

測定項目や男女で、体力の回復・低下傾向にばらつきがある。11歳で見ると、12年時点で50メートル走は99年の水準を超えているものの、11歳の男児の握力が65年以降で最低になった。一方、ソフトボール投げは11歳男児で低下しているが、11歳女児では99年の水準を上回っている。

7月4日、キッザニア東京(東京・江東)。約120人の子供が三菱鉛筆の特設ブースを訪れ、同社の色鉛筆「ポンキーペンシル」を使い、ビニールバッグに絵を描く体験をした。ビニールでも力を入れずに描け、父親と参加していた東京・板橋の近藤翠雪ちゃん(4歳)は「ママの絵が描けた」とうれしそう。埼玉県川口市から来た藤井和花ちゃん(10歳)も「描きやすくて楽しい」と話す。

前年比4割増の売れ行き

ポンキーペンシルは付着しやすい顔料を使い、多色マーカー「ポスカ」と色鉛筆の技術を採用。就学前の児童でも軽い力で紙以外のガラスや鉄、樹脂のような素材にも描ける。2011年発売だが、体験教室による認知度アップに努め、ここ1年でも前年比4割売れ行きが増えているひそかなヒット商品だ。

子どもの体力低下とともに、消費市場でも幅広い分野で変化が起きている。例えば鉛筆。ここ10年ほどで2Bや4Bといった芯が軟らかく、軽い筆圧で書ける製品の売れ行きが増している。

トンボ鉛筆(東京・北)は子供向けに芯が硬い順にHB、B、2B、4B、6Bの5種類の鉛筆を販売している。このうち、2Bの販売構成比は99年に47%だったが、13年には64%に上昇。小学校入学時に学校が2B~6Bの鉛筆の購入を推奨しているためだ。

亀井明憲商品企画部長は「握力だけではなく、字を書く上で大切な手と指をコントロールする力が低下していると考えられる」と話す。

三菱鉛筆も12年に表面に子ども向けにすべりどめを加工した鉛筆「グリッパーえんぴつ」(1ダース税抜き720円)を発売。北川貴弘商品開発部係長は「蛇口を閉めるといった日常動作が減っていることが影響している」と見る。プラスのはさみ「フィットカットカーブ ジュニア」(同400円)も大人向けを子ども向けに設計した商品だ。

液体せっけんに「すぐ出るポンプ」

文具だけではない。日用品でも子どもの体力低下に着目した商品が人気を博している。

花王が5月に既存品を改良して発売した手洗い用の液体せっけん「ビオレu 泡ハンドソープ」。改良のポイントは力が弱くても押しやすい形状のポンプ容器にしたこと。「子どもが使いやすい容器がほしい」という消費者の要望に対応した。

そこで押しやすくするため、ポンプの押す部分の直径を従来品比で2割広げた。同時に洗浄液が出てくるノズルの部分の流路を太くし、洗浄液の粘度を下げた結果、液を押し出す力も従来品比で約1割落とせたという。

同時に倒れにくいように、「同製品の容器の中で最も背を低くした」(包装容器開発研究所の内山卓己さん)。発売後、既存品を売っていた昨年に比べ売り上げが3割増えたという。

小さくて軽いラケットでラリーが続く

6月下旬、神戸市のテニス教室「ITC神戸」。午後4時すぎ、小学校1年生~3年生の4人が練習を始めた。ただ、通常の硬式テニスの練習とは少し様子が異なる。

 ラケットは21~23インチと、大人サイズ(27インチ)よりもずっと小さく、軽い。このためボールが相手側コートに入るように、使うコートの広さは通常の4分の1程度。体力のない子供向けミニテニスというわけだ。

ラリーも続きやすくなる。神戸市の楠倫太朗君(8)は「いつも遊んでいるバドミントンよりも好き」と笑顔。同市の河野陽菜ちゃん(8)も「楽に打てて楽しい」。ゲーム感覚なので、練習場では笑い声が絶えない。保護者からは「単なる遊びではないか」との声もあるが「楽しむのが先決」(ITCの小阪一博常務)だと説得する。ITCでは1年半前にこの練習を採り入れ、小学生の在籍者数も増えている。

楽しさ教えて顧客づくり

子どもの体力と運動能力の低下。スポーツ関連企業にとっては逆に商機となる。

仙台市の富沢小学校。6月20日、今年の水泳の授業が始まったが、その取り組みは一風変わっている。小学3~6年生を対象に25メートル泳げない子供には補助用水着「クロールで25」を装着して練習してもらっているのだ。水着の内側の四隅にポケットがあり、付属品の浮力シートを入れている。体が水平に浮きやすいうえ、息継ぎもしやすく、より長い距離を泳げるようになる。

「プールに苦手意識があったり、25メートルを泳ぎ切る体力がなかったりする子供に効果的」(富沢小の担当教諭)。泳ぎ方を学んでもらえば25メートルを泳ぎ切る子供も多いという。昨年に20着分を購入したという。

販売元は水着メーカー「フットマーク」(東京・墨田)だ。性能の評判が口コミで各学校の教諭に広がり、今では学校単位での購入が進む。現在は数十校規模での受注がある。このため学校向けの営業を強化している。

ミズノは2013年12月に4~10歳向けの子供用靴「ハグモック」(税別希望小売価格は5300円)を発売した。狙いは「浮き指」の防止だ。足の指をしっかりと地面に着けずに歩く「浮き指」が続くと足の裏周りの筋肉が正しく発達しない。このため歩き方のバランスが悪くなると言われ、最近の子どもに増えているという。

ミズノでは足の指の力を使いやすくするため、小指の下の部分に溝を付けて靴底を曲がりやすくした。

同社は子どもの運動嫌いをなくそうと、13年3月に独自の体育プログラム「ヘキサスロン」の提案を学校に開始。都内の小学校20校で採用されている。軟らかい素材のハンマー投げやハードル走など体力を測定できる競技や遊びの要素を取り入れた競技の6種目を行う。子どもにスポーツ競技に興味を持たせ、将来の市場拡大につなげる。

ミズノはプログラムを通じて子どもの体力低下のデータを収集・蓄積している。「体力低下と少子化はスポーツ用品メーカーにとって切実な問題」(同社)。今後の子ども向けの商品開発に生かしていく考えだ。

(岩本圭剛、新田栄作)

 「非力市場」の将来について、2人の専門家に話を聞いた。
 

子ども向け商品、高齢者にも


〈発育発達学が専門の東海大学体育学部の小沢治夫教授の話〉 80年代の小学生は1日に平均2万歩ほど歩いていたが、今の小学生は1万歩以下になっている。体力低下を解消するため、親や学校が知恵を絞って規則正しい生活をして体を動かす機会を増やす必要がある。
 その上で便利なものを生活に取り入れていくことが理想だ。子供向けとして開発された商品がユニバーサルデザインとして流通すること自体は少子高齢化の現代社会ではとても良いことだと思う。ただ、人間は便利になればなるほどそれに慣れてしまうので、体力低下につながらないような工夫も必要だ。
 

レベル別指導で裾野拡大


〈日本レクリエーション協会の全国事業・生涯スポーツ推進チームの植田尚史プロデューサーの話〉 子どもの体力低下の最も大きい要因は生活環境の中に運動する機会がないことだ。例えば、便利なモップを使えばぞうきんを絞るという動作はなくなる一方、手先の器用さや力の使い方を学ぶ機会が減ることになる。
 スポーツの競技人口の裾野を広げるために、力の度合いに合わせた子ども向けの教室を開くといいのではないか。行政でなく民間企業もそうしたところに参入しており、ビジネスチャンスがありそうだ。
 かつては野球やサッカーなど幅広く楽しんでいたが、今は1つの競技はできても他の競技が苦手な子どもが増えている。1つのスポーツで挫折するとスポーツ自体から離れてしまう懸念がある。

[日経MJ2014年7月11日掲載]

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