写真プリント注文、スマホから手軽に 動画もOK
「写真はデータよりプリントを渡すほうが喜ばれる」。こう話すのは、東京都北区で1歳の子どもを持つ主婦(30)。離れた場所で暮らす両親に、これまでは子どもの写真のデータをパソコンでCD─Rディスクに保存して送っていたが、最近プリントに切り替えた。高齢の両親が、手元に残せて見たいときにすぐ見られる写真プリントが気に入ったからだという。
こうした写真プリントの魅力を再認識した人たちの人気を集めているのが、スマホで注文できる格安プリントサービスだ。しまうまプリントシステム(鹿児島県日置市)が提供するサービスは、一般的なプリントサイズ「L版」で1枚5円(税抜き)という安さが受けている。
安さの秘密は、現像機を地方の拠点に集約し、全国からの注文を一括してさばいていること。色調のほか現像や検品、梱包など主な工程はすべて自動化し、工場を24時間フル稼働させている。使用するプリント用紙は製紙会社から直接大量に調達。ノーブランドだが「国内生産品で大手メーカー製に劣らない品質」(同社)という。
注文方法は簡単だ。スマホであらかじめ専用アプリをダウンロードしておき、スマホで撮った写真を選択するだけで完了する。注文して3~7日後に自宅に届く(首都圏の場合)。送料はメール便の場合、何枚でも90円(税抜き)。1回の注文につき、1人平均で200枚申し込んでいるという。
利用者の7割は女性。中でも20~40代前半の女性の利用が多く、旅行で撮った写真を友人同士で交換し合ったり、子どもの写真を保存したりする用途が多いようだ。
動画からプリント
最近はスマホの性能が上がったことから、動画撮影機能を積極的に使う人も多いだろう。そんな人にぴったりなのが、富士フイルムが提供している「うごく動画プリントAR」だ。
独自の画像解析技術を活用した専用アプリが、スマホで撮影した動画の中から自動で「良いシーン」を20枚程度切り出して提示してくれる。その中から好みの1枚を選び、写真の周りを囲むフレームのデザインを指定してスマホから注文すると、数日後、自宅にプリントが届く。
それだけではない。プリントにスマホをかざすと、動画が保存されている富士フイルムのサーバーに自動的につながり、スマホ画面上で動画が復元再生される。
動画撮影は若い母親が多用するケースが目立つ。動きが激しい幼児の様子を静止画で撮影するのは難しいからだ。動画から静止画に加工するニーズも高い。価格は1枚270円(税込み)。
フォトブック作成も
複数の写真をまとめて1冊の本にする「フォトブック」でも、スマホだけで注文が完結するサービスが広がってきた。交流サイト(SNS)大手のミクシィの子会社が運営する「ノハナ」は、スマホで撮影した写真を選んでネット上にアップロードすると、フォトブックに加工して届けるサービスを展開している。
1冊に20枚収容し、毎月1冊は無料で作ることができる。定期的に子どもの成長記録を残せるとしてファミリー層の人気が高いという。
日常生活のいろんな場面を撮影した写真は貴重な思い出の数々。スマホの中にとどめたままにしていてはもったいない。部屋に飾って眺めたり、好みのフレームに入れて大切な人に送ったり――。プリントすることで、デジタル化で忘れていた写真の楽しさを再認識するはずだ。
(電子整理部 鈴木洋介)
[日本経済新聞夕刊2014年7月10日付]
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