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新潟は枝豆どころ 実に40種、半年間ずっと旬

2014/7/9 日本経済新聞 夕刊

新潟県民は日本一枝豆を食べる。作付面積も日本一だ。ところが、市場に出回る出荷量ベースでは千葉県や北海道、埼玉県などに負ける。昔から自家消費が多いためだ。新潟の食文化といえばコメ、酒、魚が定番だが、実は枝豆こそ新潟を象徴する食材なのだ。

枝豆を日本一食べるのが新潟県民。スーパーでは「枝豆」ではなく、品種や産地で表示されて売られる

5月から10月までの約半年間、ほぼ月替わりで食卓に並ぶ枝豆の種類が変わる。弥彦むすめ、おつな姫、湯上がり娘、黒埼(くろさき)茶豆、肴(さかな)豆、黒豆。スーパーでは「枝豆」ではなく、産地や種類が違う固有名詞で売られ、名称は40以上にのぼる。

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枝豆は大豆の未成熟なものだが、豆のさや中に薄い茶色の皮があるものを特に茶豆という。アミノ酸や糖分が多く、甘い香りと濃い味が特徴。中でも「枝豆の王様」と呼ばれる最高級ブランドが黒埼茶豆だ。「枝豆界の魚沼産コシヒカリ」と言う人もいる。

しかし、県外での知名度は極めて低い。飲食情報サイトのぐるなびの調査(2009年)では、新潟の名産品として黒埼茶豆を挙げた県民が33.6%いたのに対し、東京都民は1.8%しかいなかった。県内外のギャップが最も多い、まさに隠れた名産品だ。

東京で茶豆といえば山形県鶴岡周辺のだだちゃ豆の方が圧倒的に有名だろう。ところが、黒埼茶豆のルーツを探ろうと旧黒埼町(現新潟市西区)を訪ねると、だだちゃ豆とのただならぬ関係がわかった。

黒埼は新潟市の中心部から10キロほど南西に位置する。黒埼茶豆発祥の地といわれるのが小平方(こひらかた)だ。この地で長く茶豆を育てている農家の白井法夫さん(63)によると、大正10年(1921年)に白井さんの縁戚にあたる姉妹が鶴岡に嫁ぎ、里帰りの際にだだちゃ豆の種を一握り持ってきた。「関係者を直接訪ねて、だだちゃ豆は黒埼茶豆の親だとわかった」と白井さんは言う。

ただ、小平方には味噌やしょうゆ用に大豆として収穫する前に枝豆として食べる習慣が江戸時代からあり、それが山形にも伝わったという説もあるという。黒埼茶豆は、だだちゃ豆より少し早めの段階で収穫する。「糖度はだだちゃ豆が多く、黒埼茶豆は香りが高い。黒埼は信濃川の氾濫で土地が肥沃になった。農作物はルーツが同じでも場所が変わればその土地の味になる」(白井さん)

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