エルニーニョ現象が起きるとなぜ異常気象になるの

日本は冷夏になりやすく

からすけ だからいつもは海面の水温が上がらないってわけか。

イチ子 ところが強い西風が吹いて貿易風が弱まると、暖かい海水が南アメリカ方面まで流れ、冷たい海水の量が減り、海面の水温が広い範囲(はんい)で高くなるのよ。こうしてエルニーニョは起こるの。

からすけ でも、そんな遠くの海の温度が上がって、日本の気象にどう影響(えいきょう)するんだろう?

イチ子 いま説明するわ。普段(ふだん)は、インドネシア近海にたまった暖かい海水から発生した水蒸気が、雨をもたらす積乱雲(せきらんうん)になるの。同時に、上昇(じょうしょう)気流となって、北半球の上空を西から東に向かって吹く偏西風(へんせいふう)を北に押し上げるの。この大気の循環(じゅんかん)で、暑さをもたらす太平洋高気圧(こうきあつ)(キーワード)が北に張り出して、日本に夏が訪れるわ。

からすけ ふーん。そういうことだったのか。

イチ子 でも、暖かい海水がまとまって東に移動してエルニーニョが起きると、こうした大気の循環が崩れるの。偏西風が北に押し上げられずに太平洋高気圧の張り出しが弱まるの。

からすけ ちゃんとした夏が来ないってこと?

イチ子 そうなの。日本では夏の間、日照(にっしょう)時間が短くなったり、梅雨(つゆ)がいつ終わったのかも判断できず、そのまま雨が続いたりして冷夏になることが多いのよ。

からすけ 今年の夏に、そのエルニーニョが起きそうなの?

イチ子 気象庁は今年の夏、5年ぶりにエルニーニョが発生する可能性が高いと予測したわ。日本には冷夏をもたらすけれど、いつも以上に暑くなったり、雨がまったく降らなかったりする国もあるの。ちなみにエルニーニョとは反対に、東の方の海面水温が低くなる現象もあるわ。スペイン語で「女の子」という意味の「ラニーニャ」(キーワード)よ。

<キーワード>
太平洋高気圧 日本よりずっと南の海で発生する高気圧。夏になると北上し、暑くて湿気の多い空気を日本に運ぶ。
ラニーニャ 貿易風が強まり、暖かい海水が西側に大量に移動する現象。日本の夏は猛暑日が増えるといわれる。
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