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解明進む耳鳴りの正体 内耳に異常・ストレス影響

2014/6/26 日本経済新聞 プラスワン

一定の年齢になれば誰でも多少なりとも経験する耳鳴り。不快に思っても、「加齢現象だからしかたない」と積極的な治療が行われてこなかったが、最近、耳鳴りのメカニズムなどに関する臨床研究が進んできた。治療の選択肢が増えるとともに、改善するための生活法なども提案されるようになってきた。

マンガでは、静けさを表すために「シーン」という擬音語が用いられる。実際、音響学の研究のために作られた無響室に入ると、「キーン」「ピー」といった音が聞こえてくるから不思議だ。このように実際には音がしていないにもかかわらず、何かが聞こえるように感じる現象が耳鳴りだ。

目白大学耳科学研究所クリニック(さいたま市)院長の坂田英明さんは「このように、耳鳴りは誰にでも起こりうる。加齢変化や精神的影響によって感じる音の強さは変動することも分かっているが、仕事や家事など日常生活で不快に感じるようになれば、治療の対象になる」と話す。

では、なぜ存在しないはずの音を感じるのか。

■起きる場所不明

私たちの聴覚は、空気の振動である音を耳の鼓膜でひろい、中耳によって内耳に伝えられる。内耳には蝸牛(かぎゅう)という器官があり、音の振動はここから神経を通って信号として脳に送られる。耳鳴りは鼓膜から脳まで音が伝わるルートのどこかで起こるが、なかなか場所を特定できないため、治療が難しい。

坂田さんは「まずは、中耳や内耳の原因を解消すること」と話す。検査で突発性難聴やメニエール病などと診断されることもあるが、多くは原因不明。ただし、耳鳴りを抱える患者の8割から9割に一定の難聴がみられることは分かっている。

そこで内耳の炎症を鎮めたり、代謝を改善する薬物治療をしたりする。低血圧などの循環器疾患やメタボリックシンドローム、毛染め剤など化学物質に対する過敏症状など内耳に影響を与え難聴の原因となる基礎疾患へのケアも欠かせない。

ただ、内耳へのアプローチで効果が得られるのは半数ほど。そのことが「耳鳴りは治らない」とされてきた大きな理由だ。しかし、最近では、大脳など中枢神経の関与が大きい耳鳴りが少なくないと考える専門家も増えてきた。

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