スマホが「専属コーディネーター」 服管理アプリ充実
「このニットはこの間買ったスカートに合うかな」「このワンピースに、カーディガンを合わせるとかわいいかも」。都内の会社員、野口真理絵さん(23)は、服を買う時に必ずスマートフォン(スマホ)に入れたアプリで手持ちの服を確認しながら熟慮する。「好きなデザインはどうしても偏る。以前は同じような服ばかり買ってしまっていた」と話す。
衣替えにも活用
クロスフィニティ(東京・千代田)が提供するアプリ「my(マイ)クローゼット」は手持ちの服を撮影し、管理できるアプリだ。「似た商品を購入するのを避けたい」「店頭で手持ちの服との組み合わせを考えながら買い物したい」という20~30歳代の女性の心をつかみ、昨年10月に公開してから順調にダウンロード数を伸ばしている。
使い方は、まず自分が持っている服をスマホのカメラで撮影する。その後、「トップス」「ボトムス」などのカテゴリーを選択し、端末に保存するだけ。カテゴリーは自分で追加することもできる。
開発を担当したプロダクトディベロップメントディビジョンの鈴木啓太氏は「誰でも簡単に使えるように操作画面などをなるべくシンプルにした」と話す。その服を着る季節も登録できるため「衣替えの時に活用する」という人もいる。
外出先ではあまりタブレット(多機能携帯端末)をインターネットに接続しない人も想定し、オフラインで全ての作業ができるようにした。最近では男性の利用も増えているという。
一方で「ジャンルを問わず、流行をおさえたコーディネートを取り入れたい」という需要に応えたアプリもある。VASILY(ヴァシリー、東京・渋谷)が2012年3月から配信しているアプリ「iQON(アイコン)」だ。
通販サイト「MAGASEEK」を運営するマガシーク(東京・千代田)など約60社と提携。通販サイトに掲載されているブランドの服やカバン、アクセサリーの写真を並べ、自分だけの組み合わせでファッション雑誌のようなページを作ることができる。ページはアプリ上で他の利用者に公開もできる。
自分専用の雑誌に
他の利用者のコーディネートが気に入ったら「LIKE」ボタンを押して、自分の端末で一覧できる。金山裕樹社長は「自分専用の雑誌のような感覚で見ている人が多い」と話す。利用者は18~30歳の女性が中心で、会員数は97万人にのぼる。
気に入った服はその画面から通販サイトにアクセスして購入できる。もともとはネット通販で服を買う人が増えていることに対応して企画したアプリだった。だが「最近ではアプリ上でウインドーショッピングをしたうえで、実店舗で実物を見て購入する人も多い」(金山社長)ことから、商品を取り扱っている店舗を一覧で表示する機能も付けた。
買い物の参考にできるアプリでは、通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイのアプリ「WEAR(ウェア)」もある。もともと店頭でバーコードを読み取って衣料品を購入できるアプリだったが、現在はモデルやショップ店員などのコーディネートを約50万件掲載。「ボーダー」「花柄」などのキーワードを入力すると、キーワードに合ったコーディネートを表示する「コーディネートレシピ機能」が特徴だ。
手軽に買い物を手助けしてくれるアプリを活用して、無駄なく流行のファッションを楽しむ人は今後も増えそうだ。
(企業報道部 長田真美)
[日本経済新聞夕刊2014年6月19日付]
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